アメリカ人アーティスト、アレックス・ダ・コルテ(Alex Da Corte)の作品集。2025年3月から9月にかけてテキサス州フォートワースの「フォートワース現代美術館(Modern Art Museum of Fort Worth)」で開催された展覧会に伴い刊行された。

作者は、絵画、パフォーマンス、映像、彫刻を融合させたハイブリッドなインスタレーション作品で世界的に知られている。アート、デザイン、ポップカルチャーの歴史にどっぷりと浸かりながら、ハイカルチャーとローカルチャーのヒエラルキーを横断しつつ、ファンタジーや悪意といったものが混ぜこぜになった感情を呼び起こす。あわせて、モダニズムの色彩理論やポスト・ミニマリズム彫刻の空間的な実験を融合させ、消費主義、ペルソナ、セクシュアリティ、見えない労働(インビジブル・ワーク)、味覚、権力、欲望などをトピックとして作品に取り入れている。

展覧会のタイトルである「クジラTHE WHALE)」は、現代文化における膨大な採掘を示している。作者によるとその過程は、精神科医で心理学者のカール・グスタフ・ユング(Carl Gustav Jung)が提唱した『夜の航海』になぞらえている。文化的あるいは個人的な霊(精神)と交わる行為として過去を振り返り、収集することであると説明する。『夜の航海』とは、主人公が海の怪物(クジラ)に食べられ、個を求めて黄泉の国や地獄などの亡霊の国に降りていくという神話学である。作者は絵画というメディアを「亡霊のための空洞」とし、美術館そのものと同じようなものであると考えている。絵画は、それ自体の歴史の重みを永遠に蓄え続け、歴史的にそれ自体が消費というものの不気味な入り口として在り、作者にとっては「クジラの口」を象徴しているのだ。

作者は、広告、アニメのセル画、CDのグラフィックデザイン、美術史などを消化し、現代文化における混雑した美しきゴミのような風景の中に自分自身を位置づけている。作者の絵画作品で文脈として用いられる儚いポップ・カルチャーの素材は、我々が自分と重ね合わせるもの、あるいは我々自身を定義するために用いるものが、いかにして時間の経過とともに進化していくかを明らかにする。

これまでの展覧会では、作者が手がけたインスタレーション作品に焦点を当てたものが多くを占めたが、今回の展覧会は、過去10年間に取り組んできた、豊かでエキセントリックな絵画との関係性を探る初めての展開となる。40点以上の絵画作品とドローイング数点、そしてパフォーマティブな行為として制作された絵画作品を考察した映像を展示した。

過去に制作されてきた独特な作品のアプローチからも予想できるように、作者は伝統的な素材と型破りな素材、どちらも用いながら絵画を描き、同時に再構築された絵画のビジョンを実現すべく絵画という媒体の中で伝統的に存在していた境界線を広げている。例えば「Shampoo Paintings」ではドラッグストアのヘアケア製品で描かれ、「Puffy Paintings」はウェットスーツ生地などに使われるネオプレーン素材を布張りすることで作られている。他にも、セル・アニメーションやサイン制作でよく使われる手法を用いたリバース・グラス・ペインティング(ガラスの裏側に絵の具の一番手前に見える層を塗り、そのあと層を重ね、最後に背景を描き加えるという通常と逆の順序でイメージを作り上げていく手法の作品)なども展覧された。

この絵画作品の多くは、制作過程を解説する「ボイス・メモ(Voice Memos)」と共に、初めて書籍として刊行された。

MORE

¥ 11,000 (税込)

アメリカ人アーティスト、アレックス・ダ・コルテ(Alex Da Corte)の作品集。2025年3月から9月にかけてテキサス州フォートワースの「フォートワース現代美術館(Modern Art Museum of Fort Worth)」で開催された展覧会に伴い刊行された。

作者は、絵画、パフォーマンス、映像、彫刻を融合させたハイブリッドなインスタレーション作品で世界的に知られている。アート、デザイン、ポップカルチャーの歴史にどっぷりと浸かりながら、ハイカルチャーとローカルチャーのヒエラルキーを横断しつつ、ファンタジーや悪意といったものが混ぜこぜになった感情を呼び起こす。あわせて、モダニズムの色彩理論やポスト・ミニマリズム彫刻の空間的な実験を融合させ、消費主義、ペルソナ、セクシュアリティ、見えない労働(インビジブル・ワーク)、味覚、権力、欲望などをトピックとして作品に取り入れている。

展覧会のタイトルである「クジラTHE WHALE)」は、現代文化における膨大な採掘を示している。作者によるとその過程は、精神科医で心理学者のカール・グスタフ・ユング(Carl Gustav Jung)が提唱した『夜の航海』になぞらえている。文化的あるいは個人的な霊(精神)と交わる行為として過去を振り返り、収集することであると説明する。『夜の航海』とは、主人公が海の怪物(クジラ)に食べられ、個を求めて黄泉の国や地獄などの亡霊の国に降りていくという神話学である。作者は絵画というメディアを「亡霊のための空洞」とし、美術館そのものと同じようなものであると考えている。絵画は、それ自体の歴史の重みを永遠に蓄え続け、歴史的にそれ自体が消費というものの不気味な入り口として在り、作者にとっては「クジラの口」を象徴しているのだ。

作者は、広告、アニメのセル画、CDのグラフィックデザイン、美術史などを消化し、現代文化における混雑した美しきゴミのような風景の中に自分自身を位置づけている。作者の絵画作品で文脈として用いられる儚いポップ・カルチャーの素材は、我々が自分と重ね合わせるもの、あるいは我々自身を定義するために用いるものが、いかにして時間の経過とともに進化していくかを明らかにする。

これまでの展覧会では、作者が手がけたインスタレーション作品に焦点を当てたものが多くを占めたが、今回の展覧会は、過去10年間に取り組んできた、豊かでエキセントリックな絵画との関係性を探る初めての展開となる。40点以上の絵画作品とドローイング数点、そしてパフォーマティブな行為として制作された絵画作品を考察した映像を展示した。

過去に制作されてきた独特な作品のアプローチからも予想できるように、作者は伝統的な素材と型破りな素材、どちらも用いながら絵画を描き、同時に再構築された絵画のビジョンを実現すべく絵画という媒体の中で伝統的に存在していた境界線を広げている。例えば「Shampoo Paintings」ではドラッグストアのヘアケア製品で描かれ、「Puffy Paintings」はウェットスーツ生地などに使われるネオプレーン素材を布張りすることで作られている。他にも、セル・アニメーションやサイン制作でよく使われる手法を用いたリバース・グラス・ペインティング(ガラスの裏側に絵の具の一番手前に見える層を塗り、そのあと層を重ね、最後に背景を描き加えるという通常と逆の順序でイメージを作り上げていく手法の作品)なども展覧された。

この絵画作品の多くは、制作過程を解説する「ボイス・メモ(Voice Memos)」と共に、初めて書籍として刊行された。

MORE

取り扱い twelvebooks
サイズ 24.1 x 17.1 x cm
重量 1.0kg
商品コード 1100043011
出版 DELMONICO BOOKS & MODERN ART MUSEUM OF FORT WORTH
著者 Alex Da Corte
ISBN 9781636811604
配送までの期間 ご注文確定後、2-7日以内
カテゴリー
送料 ¥770(税込)
購入条件

RELATED ART PRODUCTSアレックス・ダ・コルテのアートプロダクト一覧