スウェーデン人画家、ヒルマ・アフ・クリント（Hilma af Klint）の作品集。抽象絵画の先駆者である作者の作品を網羅するカタログレゾネ全7巻のうち、本書は第2巻である。作者の愛すべきシリーズ「神殿のための絵画（The Paintings for the Temple series）」を中心に紹介する。

本シリーズにおいては、1906年から1915年にかけて193点の作品が制作された。色鮮やかであり、その多くが抽象的、かつ生物形態的な特徴を持ち、霊的な現実における霊媒的なヴィジョンを表現したものである。作者は最終的に、真の霊的な理解と悟りを開くべく、円形の寺院にこの作品群が設置されることを望んでいた。

2018年から2019年に「ソロモン・R・グッゲンハイム美術館（Solomon R. Guggenheim Museum）」で開催された展覧会では、当時最多来場者数である60万人を記録し、国際的に高く評価されたが、本書に収録されている作品群は、同展で最も人気であり、かつ決定的で、愛されている作品の一つとして数えられるようになった。

「Axel and Margaret Ax:son Johnson Foundation」の協力のもと制作されたこのカタログレゾネは、スウェーデンの「ストックホルム近代美術館（Moderna Museet）」の前館長であり、2013年から2019年にかけて開催された大規模な作者の展覧会を企画したダニエル・バーンバウム（Daniel Birnbaum）と、「Axel and Margaret Ax:son Johnson Foundation」の代表であるクルト・アルムクヴィスト（Kurt Almqvist）によって寄稿された序文を収録する。