スウェーデン人画家、ヒルマ・アフ・クリント（Hilma af Klint）の作品集。抽象絵画の先駆者である作者の作品を網羅するカタログレゾネ全7巻のうち、本書は第3巻である。代表作「神殿のための絵画（The Paintings for the Temple series）」の制作に先立って描かれたスケッチが収録されている。

作者は生前、自身の作品をほとんど展示することはなかったが、自身最高傑作である「神殿のための絵画」は、2013年にスウェーデンの「ストックホルム近代美術館（Moderna Museet）」で始まり、2018年から2019年に「ソロモン・R・グッゲンハイム美術館（Solomon R. Guggenheim Museum）」で開催された大規模な展覧会で幕を閉じた一連の巡回展で一般公開された。この193点の絵画シリーズは、没後約70年を経て「ストックホルム近代美術館」で初めて展覧されたのである。

このシリーズは、作者が交霊会で異界の存在からのメッセージを受け取ったことから始まった。進化や二元性といった特定のテーマが、テンペラ技法を用いた鮮やかなパステルカラーの配色と、高さ10フィートを超えるキャンバスへ丁寧に配置された複雑な幾何学模様によって表現されている。 この作品集に掲載されているスケッチブック「THE BLUE BOOKS」は、作者が友人たちに自分の作品をより身近な形で見てほしいと考えたことから、常に作者と共に旅をしていた。