スウェーデン人画家、ヒルマ・アフ・クリント（Hilma af Klint）の作品集。本書は「見えないものを見る芸術（THE ART OF SEEING THE INVISIBLE）」をテーマとし、抽象画の先駆者である作者の作品と生涯が投げかける多くの問いに、多様な分野の研究者陣が挑む一冊。

延べ20名もの近代美術、美術史、哲学、宗教学の専門家が、批判的吟味を通じ、作者が生み出してきた唯一無二の芸術、文化的背景、美術史的な位置づけを検証する。初期の抽象芸術、ダーウィン主義の影響からゲーテ（Goethe）の色彩論、またあわせて初期モダニズムに影響を与えた神智学や人智学などのオカルト的な宗教運動の重要性、そして作者自身の日誌やリサーチに関する討論に至るまで、幅広いトピックを取り上げている。

本書は、2013年に開催された「Hilma af Klint: A Pioneer of Abstraction」展と連動して開催されたセミナーをもとに構成されている。展覧会は大変な好評を博し、「ストックホルム近代美術館（Moderna Museet）」では異例の入場者数を記録、その後もベルリンの「ハンブルガー・バーンホフ現代美術館（Hamburger Bahnhof – National Gallery of the Present）」、デンマークの「ルイジアナ近代美術館（Louisiana Museum of Modern Art）」へと巡回した。