ファッションハウス「ディオール（Dior）」の作品集。本書は、メゾン創設70周年を迎えた2017年からフランスの出版社「ASSOULINE」によって刊行されてきたシリーズのうちの第5巻。本シリーズは、歴代デザイナー7名に捧げ、各巻で一人ずつ特集する。第５巻は、1997年から2011年までメゾンの５代目デザイナーを務めたジョン・ガリアーノ（John Galliano）に焦点を当てる。

イギリス領ジブラルタル生まれのファッションデザイナー、ジョン・ガリアーノは、「ロンドン芸術大学セントラル・セント・マーチンズ校」在学中、ナショナル・シアターで衣装係として働き、衣装の芸術と錯視の力を学んだ。ロンドンのナイトクラブの常連だったジョン・ガリアーノは、アーティストや個性的な人々と出会い、ディオールの帽子デザイナーとなったスティーブン・ジョーンズ（Stephen Jones）をはじめ、ガリアーノのキャリアに決定的な役割を果たすことになる気の合う仲間たちと強い絆を築いた。

自身のブランド（1984年設立）の成功に続き、1995年には「ジバンシィ（GIVENCHY）」のプレタポルテとオートクチュールのクリエイティブ・ディレクターに就任、1996年にはディオールのウィメンズコレクションのアーティスティック・ディレクターに就任した。そこでジョン・ガリアーノは、歴史や文化から得たさまざまなインスピレーションを融合させた豪華なショーで名を上げ、ロマン主義と歴史に彩られた、世界的なカレイドスコープ（万華鏡）のようなリファレンスと自由な創意工夫を披露した。オートクチュールのノウハウと生来の華やかさを兼ね備えた感性で、シルエットの名人として高い評価を得ている。

ジョン・ガリアーノは、オートクチュールの芸術、そしてその役割そのものを再発明し、現実もしくは、想像の旅から受けた影響と、クリスチャン・ディオールの豊かな遺産を組み合わせた新しい種類の現代ファッションに、その典型的なスタイルを再定義した。本書は、1996年から2011年の間にディオールコレクションのために生み出した卓越したシルエットを、写真家のラジズ・ハマニ（Laziz Hamani）が撮影した最も象徴的なモデルたちを通して焦点を当てており、スティーブン・マイゼル（Steven Meisel）、アニー・リーボヴィッツ（Annie Leibovitz）、アーヴィング・ペン（Irving Penn）、パオロ・ロヴェルシ（Paolo Roversi）が捉えた写真とともに紹介する。