DAMAGED [SIGNED]
2025
¥ 9,900 (税込)
フランス人プロスケートボーダーでフォトグラファー、ポール・グランド (Paul Grund)の作品集。
本書において、作者はロサンゼルスにレンズを向ける。ただしそれは、夢を生み出す工場でもなければ、映画的な背景として描かれたものでもない。すでに崩壊し尽くした都市としてのロサンゼルスである。フォトグラファーのルイス・ボルツ(Lewis Baltz)が、ロサンゼルスは「すでに破壊され、そのまま警告として放置されている」と述べた冷徹な言葉に呼応するかのように、本作は、この都市を規定した磨き上げられた神話性に抗っている。作者のカメラは、壁や高架道路、無表情な幾何学形態が断片化する風景を彷徨い、断絶によって築かれた都市の姿を露わにしていく。
ほとんどの写真は、走っている車内から撮影されている。そこには動きと制約があり、立ち止まって構図を整える時間はない。イメージは、本能的に捉えられ、都市の表層を瞬時に読み取るスケーターがくだす判断のように生まれていく。その結果、認識と偶然のあいだを揺れ動く瞬間の連なりが立ち現れ、完全には属することのできない都市を我々が移動するときに現れる視線のリズムを映し出している。
作者が写すロサンゼルスは、スペクタクルや廃墟としての都市ではなく、疲弊した都市として現れる。そこには、日差しにさらされたファサード、絡み合う電線、フェンス、コンクリートの境界といった、自己完結したゾーンが集い、広がっている。それはまるで、守ろうとしているようでもあり、同時に排除するかのようでもある。人物がカメラと視線を交わすことは稀であり、もしそうした瞬間が訪れるとしても、そこには「見られるために設計された都市」のなかで、見られることのないままに置かれた者たちの疲弊が刻まれている。
本書には、明確な始まりも終わりもない。それぞれのイメージは、通過する中で掴み取られた断片のように現れ、ひとつの場所が統一的な像を拒み続けていることを示している。それらが集まることで、名所ではなく、そのあいだをすり抜けていくものによって定義される、不在のまま静かな地図が描き出される。
本作は単一の物語や結論を提示しない。建てられた風景が、いかに生き、通過されていくのかについての思索である。残滓と反省に満ちたロサンゼルス──そこでは、美しさと荒廃が、同じ褪せゆく光のなかに共存している。
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| 取り扱い | twelvebooks |
|---|---|
| エディション | SIGNED BY PAUL GRUND |
| サイズ | 24.0 x 17.0 x cm |
| 重量 | 1.0kg |
| 商品コード | 1100049949 |
| 出版 | SERPENT PRESS |
| 著者 | Paul Grund |
| ISBN | 9791041575497 |
| 配送までの期間 | ご注文確定後、2-7日以内 |
| カテゴリー | |
| 送料 | ¥770(税込) |
| 購入条件 |