20世紀の美術に大きな影響を及ぼしたフランス人アーティスト、マルセル・デュシャン（Marcel Duchamp）からはじまり、1950年代から現代に至るまで、アーティストたちが手掛けた雑誌と出版物を辿る研究をまとめた作品集。2024年3月から5月までイタリア・フォリーニョの美術館「CIAC / Centro Italiano Arte Contemporanea」で開催された展覧会に伴い刊行された。

芸術における制作物という観点において、この類の分野は見過ごされがちではあるが、本書では芸術表現がなされるメディアとして新聞や雑誌を探求する。本書に掲載された作品には、アーティストが表紙、本文、画像のシークエンスをデザインした貴重かつ特別なアイテムが数多く存在するが、どれもユニークでありながら複製することができる作品として成り立っている。このような出版物は、往々にしてオープンかつ集合体として存在しうる「器」となり、同じレイアウトの中で、あるいは異なる号にまたがり、複数のアーティストが関わることができる。「宇宙の構築」を意味する本書のタイトルは、20世紀初頭の前衛芸術運動の先駆的な役割を強調したものであり、1915年に発表されたマニフェスト「未来派による宇宙の再構築（Futurist Reconstruction of the Universe）」を文脈とし、この宣言は新聞の様なレイアウトで表明されていた。1950年代を起点としてアーティストたちの間にユートピア的なビジョンが生まれ、実際に存在していた世界紛争の重圧から解放されていた。彼らは、新たな社会を創造することを構想しており、それは旅する建築物、オープンスペース、新しい言語、未来と宇宙への憧れによって特徴づけられていた。

イタリア語、英語併記。