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フランス発、2017年に創刊したグラフィックデザイン誌『レヴュ・フェール(REVUE FAIRE)』。本誌は、ヨーロッパ全体、殊にフランスにおいて、グラフィックデザインの形態と活動にまつわる分析に特化した批評的な刊行物が少ない現状を嘆き、鑑みて作られた。グラフィックデザインスタジオ「Syndicat」と出版社「Empire」を主宰するデザイナー・デュオ、サシャ・レオポルド(Sacha Léopold)とフランソワ・ハーヴェゲール(François Havegeer)によって創刊、15冊を1シーズンとして発行している。

第4号は、旧オランダ領スリナム生まれのオランダ人アーティスト、スタンリー・ブラウン(Stanley Brouwn)を特集し、「A COMMUNICATION」をタイトルに掲げて氏のインビテーションカードに光を当てる。

スタンリー・ブラウンはコンセプチュアル・アート史上の重要人物であるが、もし「スタンリー・ブラウンが誰であるか」というところから芸術作品を切り離し、そのイメージと作品を使いこなすことで他者性を明らかにしたいという願望が本人にあると我々が仮定しうるのであれば、我々は、スタンリー・ブラウンが展覧会に大衆の関心を集中させようとする意図も推測することができるようになるだろう。

スタンリー・ブラウンの展覧会に関連した伝達手段には様々な基準が設けられており、スイスのフォント「ヘルベチカ(Helvetica)」とその小文字のみの使用をはじめ、作品画像を複写/同じ作品を題材にした解説文の作成(または作成許可)/展覧会の内覧会やレセプションといった直前の催しへの登場/さらにはインタビューへの回答といったことへの拒否などが挙げられ、その背景には「省略」によってアイデンティティを構築していることが見受けられる。

大型国際現代美術展「ドクメンタ」のうち、スイス人キュレーターのハラルド・ゼーマン(Harald Szeemann)がディレクターを務めた「ドクメンタ5」(1972年)への参加以来、このような姿勢と結びついたスタンリー・ブラウンの物語が、特定の一事例という枠を超えて働いてくる芸術的な立場の輪郭を描くようになった。個展の招待状は、その兆候が見られる典型的な例である。ほぼ「ヘルベチカ」のみで構成され、大文字がなく、ギャラリーや主催機関が独自に持つグラフィック・アイデンティティを無視している。

このような制御は、グラフィックとタイポグラフィの選択が、同世代もしくはそれ以降の世代のアーティストや理論家と同様に、スタンリー・ブラウンが築いた中立性の空間のひとつであると明らかにしている。アメリカ人アーティスト、ソル・ルウィット(Sol LeWitt)の立場のひとつを引用すると、「コンセプチュアル・アーティストは合理主義者であるというよりも神秘主義者である」。それが、アーティスト自身によって採択された橋渡しの方法であろうと、必然的に伴ってくる施設との関係性であろうと、作品の自律性の神話や、ドキュメンテーションとの関係、作品の解説や分析、さらには受け入れる条件であろうと、スタンリー・ブラウンがコンセプチュアル・アーティストの範疇を脱し、その先鋭性が持つ現代的な共鳴を測るよう我々を駆り立てているのである。

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REVUE FAIRE – A COMMUNICATION #04: INVITATION CARDS BY THE ARTIST STANLEY BROUWN

2017

¥ 2,200 (税込)

フランス発、2017年に創刊したグラフィックデザイン誌『レヴュ・フェール(REVUE FAIRE)』。本誌は、ヨーロッパ全体、殊にフランスにおいて、グラフィックデザインの形態と活動にまつわる分析に特化した批評的な刊行物が少ない現状を嘆き、鑑みて作られた。グラフィックデザインスタジオ「Syndicat」と出版社「Empire」を主宰するデザイナー・デュオ、サシャ・レオポルド(Sacha Léopold)とフランソワ・ハーヴェゲール(François Havegeer)によって創刊、15冊を1シーズンとして発行している。

第4号は、旧オランダ領スリナム生まれのオランダ人アーティスト、スタンリー・ブラウン(Stanley Brouwn)を特集し、「A COMMUNICATION」をタイトルに掲げて氏のインビテーションカードに光を当てる。

スタンリー・ブラウンはコンセプチュアル・アート史上の重要人物であるが、もし「スタンリー・ブラウンが誰であるか」というところから芸術作品を切り離し、そのイメージと作品を使いこなすことで他者性を明らかにしたいという願望が本人にあると我々が仮定しうるのであれば、我々は、スタンリー・ブラウンが展覧会に大衆の関心を集中させようとする意図も推測することができるようになるだろう。

スタンリー・ブラウンの展覧会に関連した伝達手段には様々な基準が設けられており、スイスのフォント「ヘルベチカ(Helvetica)」とその小文字のみの使用をはじめ、作品画像を複写/同じ作品を題材にした解説文の作成(または作成許可)/展覧会の内覧会やレセプションといった直前の催しへの登場/さらにはインタビューへの回答といったことへの拒否などが挙げられ、その背景には「省略」によってアイデンティティを構築していることが見受けられる。

大型国際現代美術展「ドクメンタ」のうち、スイス人キュレーターのハラルド・ゼーマン(Harald Szeemann)がディレクターを務めた「ドクメンタ5」(1972年)への参加以来、このような姿勢と結びついたスタンリー・ブラウンの物語が、特定の一事例という枠を超えて働いてくる芸術的な立場の輪郭を描くようになった。個展の招待状は、その兆候が見られる典型的な例である。ほぼ「ヘルベチカ」のみで構成され、大文字がなく、ギャラリーや主催機関が独自に持つグラフィック・アイデンティティを無視している。

このような制御は、グラフィックとタイポグラフィの選択が、同世代もしくはそれ以降の世代のアーティストや理論家と同様に、スタンリー・ブラウンが築いた中立性の空間のひとつであると明らかにしている。アメリカ人アーティスト、ソル・ルウィット(Sol LeWitt)の立場のひとつを引用すると、「コンセプチュアル・アーティストは合理主義者であるというよりも神秘主義者である」。それが、アーティスト自身によって採択された橋渡しの方法であろうと、必然的に伴ってくる施設との関係性であろうと、作品の自律性の神話や、ドキュメンテーションとの関係、作品の解説や分析、さらには受け入れる条件であろうと、スタンリー・ブラウンがコンセプチュアル・アーティストの範疇を脱し、その先鋭性が持つ現代的な共鳴を測るよう我々を駆り立てているのである。

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取り扱い twelvebooks
サイズ 29.7 x 21.0 x cm
重量 1.0kg
商品コード 1100041966
出版 EMPIRE
ISBN 9791095991045
配送までの期間 ご注文確定後、2-7日以内
カテゴリー
送料 ¥770(税込)
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