¥ 8,580 (税込)
[アーティストステートメント]
「生命線」について
生は生きる、命は死ぬ(命日)。生命線は生と死を一つの全体としての軌跡、あるいは生と死の境界線なのだろうか。
陰陽の視点から見れば、生命線は陰陽の境であり、陰陽の繋がりでもある。
中国古代の蔡邕(さいよう,133~192年)には、「自然既立,陰陽生焉;陰陽既生,形勢出矣」(自然は成立すれば、陰陽は生まれる。陰陽が生まれて、形と勢が出る)という言葉がある。
この視点から西洋絵画と東洋絵画を見れば、考えさせられることが多い。
明暗境界線が西洋絵画の要であれば、輪郭線は東洋絵画の魂であろう。はっきりしたがる西洋人は線を避け、曖昧にしたがる東洋人はあえて線を引く。一見矛盾だらけの現象から生命線の視点で追求すると、人間の本質或いは自然というものは何かが見えてくる。
ムーブメントの視点から見ると、生命線は情報伝達の軌跡である。
人は母親のお腹から生まれてから、成長と共にDNAの伝達はおそらく少しずつずれていくのだろう。人生とはそのプロセスの記録になる。
デリダは「われわれは差延によって次のような運動を指示しよう。すなわちその運動に従って言語が、あるいは一切のコード、一切の送り返しシステム一般が諸差異の織物として『歴史的に』構成される、そうした運動のことである」と「差延」において記述している。
私の制作は、ミスコミュニケーションから始まり、ジャック・デリダの「差延」と蔡邕の「九勢」に強く共感して、自分自身の体験から生まれたものだ。
私の作品の中で、線は最も大事な要素である。常に「生命線」の意識が根底にある。身体運動で対象との共感をよりリアルに表現し、ズレることによって、形は浮かんでくる。肖像の場合、その人の人生を描き出す。脈動、呼吸、生命の軌跡と未来へ紡いでいくエネルギーを出そうとしている。 生命線は私の作品の中、隔てるものであり、つながるものである。
江上越
[作家プロフィール]
江上 越(えがみ・えつ)
⽇本⽣まれ。アメリカ、中国、ヨーロッパなど国際的に活躍するアーティスト。2020年にForbes China、2021年にForbes Asia世界を変える30歳以下の30⼈に選ばれる。2021年⽂化庁新進芸術家選出、ニューヨーク派遣。アジアンアートプライズ2019ファイナリスト、2022年Net a Porter が選ぶアート界を変える世界の⼥性6名に選出、BEST ARTIST PRIZE 2023受賞。 ドイツHFG(The Karlsruhe University of Arts and Design)、北京・中央美術学院へ留学。近年の個展・プログラムでは「MISS DIOR展」(六本木ミュージアム)、ワークショップ「伝わるかな?」(原美術館ARC)、「Facebook」(ニューヨーク)「Venus code」(パリ)、「Oriental Mystery」(上海昊美術館)、「This is not a Mis-hearing game」(北京)、「エントランスギャラリーVol.1 :江上越」 (千葉市美術館)、主なグループ展に「VOCA展2020」(上野の森美術館)、「第1回AIR展」(群⾺県⽴近代美術館)、「The power of painting」(新繹美術館、北京)、CAF展(現代芸術振興財団)。
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取り扱い | 銀座 蔦屋書店 |
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素材 | A4変型判/上製本 |
商品コード | 1100035743 |
出版 | 美術出版社 |
著者 | 江上越 |
ISBN | 9784568105797 |
配送までの期間 | ご注文から1週間~10日程度での発送を予定しております。在庫がない場合はご注文後、在庫状況及び納期をメールにてご案内いたします。ご了承ください。 |
備考 |
掲載エッセイ|北方謙三 「顔の中の顔」 論考執筆|富井玲子(美術史家)、クリスティーナ・ユ・ユ(ボストン美術館アジア美術部部長)、張子康(新繹美術館館長) |
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送料 | ¥550(税込) |
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