HABURI（ハブリ）は中華人民共和国の内モンゴル自治区に生まれ、少数民族として美術教育と大国による愛国教育を受けた後に日本へと渡り、内モンゴル、中国、日本という３つの政体と風土を通り抜けてきた自らのアイデンティティを顧みるところから制作を始める。

本作は2023年に開催された展覧会に出展されたもの。竹工芸、陶器、手編みの異なるメディウムを用い、個人と国家の間の葛藤、作家自身が受けた教育、国家概念などについての思索を反映している一連の作品の内の１点。

私の子供の頃、よく「社会主義の鉄拳を味わってみたいか?」と人々が言うのを聞くことがあった。中国のインターネット上では、「社会主義の鉄拳」と いうフレーズは、国家政策の介入によって個人が大きな挫折を経験する象徴として使われている。このフレーズは、多くの人々が政府の介入と個人の自由との緊張関係に対する感情を反映し、社会的批判の声となっている。国内での個人と国家との間の葛藤だけでなく、この陶器作品は中国を代表する社会主義陣営と西洋の資本主義国家との間の駆け引きや対決も反映している。ボクシンググローブは国際政治のチェスボードの一部を表しており、今日の世界政治の緊迫関係を示している。

タイトル｜社会主義パンチ

制作年｜2023年

サイズ｜H20×W250×D15cm（1個）, ２点組

素材・技法｜陶土