細井えみか個展 「Nailing to the beach」(2024年2月1日(木)-2月25日(日))展示概要より

細井は、鉄やボルトナット、クランプなどの工業的な素材やファブリックなど様々な素材を用いて立体作品を生み出しています。自身の制作について、「『知っている』と認識していることが、どれほど真実味を帯びたものか確かめる行為」であると述べる彼女は、これまでにも我々が日常で当たり前のように目する物や風景に違和感を覚えさせるかのような作品を制作してきました。過去作が、家具や建物、商業施設における什器など身近に存在する製品を連想させながらも、それらが持つ本来の用途や意味を奪い、ショッキングとも言える感覚を覚えさせる「作品」となっていたのに対し、本展では、我々が普段注意を払うことのない、作品の裏側、もしくは目に見える「物の裏」への視点を導きつつ、表裏という対の概念自体についても問いかけます。本展のタイトルである「Nailing to the beach」とは、砂浜に釘を打つ、という意味です。無意味で不毛とも思われる行為に対し、無意味でない行為とは何なのか。我々が見ていると思っているものは、果たして実際に其所に存在するのか、さらには目を眩まされることなく本質を見ようとすること自体に意味はあるのか。様々な問いを生み出すであろう本展に、是非ご来廊いただけますと幸いです。

【本展に寄せて】

 —照らされているところに視線をやる。床があり、壁がある。

 —つまむ、握る、指をひっかける。押したり引いたりしてみる。

 —布地に手を触れる。自宅のソファの、ひんやりしたレザーの感触を思い出す。

 道具を道具として扱うことに抗いたくなることがある。時刻を時刻として認識することがいやになることがある。名前と目的を与えられた物から、役割をひっぺがすことに夢中になっていたりする。「ぬかに釘」ということわざがある。食べ物と金物を組み合わせるのはナンセンスだと思う が、砂浜に釘を打つこともまた、同じように無駄なのかもしれない。けれど釘の頭に僅かに残るへこみや、砂にあいた穴から読み取れるのは、たしかにそこにあった行為の痕跡だ。

「無」を照らす物体、開かないフタ、それらは本展に存在するものである。物を物として認識することから解放されたいと思う。                

2024年1月 細井えみか

【ステートメント】

深く腰掛けたソファーの手触り、窓から見える家々のエッジの効いた屋根、道端で見上げた陸橋の接合部。気にも留めない些細な日常風景は、いつの間にか記憶の中に積み重なって、大きな安心感に繋がっていく。私にとって物事を「知っている」状態は、自らの精神的支柱 となり安寧を生み出す基盤である。けれど頭の中に漠然と存在している記憶やイメージは、身体の器官を通して仕入れた情報を、自分自身で無意識に取捨選択した結果に過ぎない。私の制作は、見たことのあるもの、触ったことのあるもの、あるいは肌で感じたことのある気配など、五感を通した情報により「知っている」と認識していることが、どれほど真実味を帯びたものかを確かめる行為である。安心の出処を探すため、日常生活にひっそりと存在している要素を掻い摘んでは、「これは何だったか」の記憶を辿る。

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細井えみか

Door II

2024 - 2024

¥ 96,800 (税込)

細井えみか個展 「Nailing to the beach」(2024年2月1日(木)-2月25日(日))展示概要より

細井は、鉄やボルトナット、クランプなどの工業的な素材やファブリックなど様々な素材を用いて立体作品を生み出しています。自身の制作について、「『知っている』と認識していることが、どれほど真実味を帯びたものか確かめる行為」であると述べる彼女は、これまでにも我々が日常で当たり前のように目する物や風景に違和感を覚えさせるかのような作品を制作してきました。過去作が、家具や建物、商業施設における什器など身近に存在する製品を連想させながらも、それらが持つ本来の用途や意味を奪い、ショッキングとも言える感覚を覚えさせる「作品」となっていたのに対し、本展では、我々が普段注意を払うことのない、作品の裏側、もしくは目に見える「物の裏」への視点を導きつつ、表裏という対の概念自体についても問いかけます。本展のタイトルである「Nailing to the beach」とは、砂浜に釘を打つ、という意味です。無意味で不毛とも思われる行為に対し、無意味でない行為とは何なのか。我々が見ていると思っているものは、果たして実際に其所に存在するのか、さらには目を眩まされることなく本質を見ようとすること自体に意味はあるのか。様々な問いを生み出すであろう本展に、是非ご来廊いただけますと幸いです。

【本展に寄せて】

 —照らされているところに視線をやる。床があり、壁がある。

 —つまむ、握る、指をひっかける。押したり引いたりしてみる。

 —布地に手を触れる。自宅のソファの、ひんやりしたレザーの感触を思い出す。

 道具を道具として扱うことに抗いたくなることがある。時刻を時刻として認識することがいやになることがある。名前と目的を与えられた物から、役割をひっぺがすことに夢中になっていたりする。「ぬかに釘」ということわざがある。食べ物と金物を組み合わせるのはナンセンスだと思う が、砂浜に釘を打つこともまた、同じように無駄なのかもしれない。けれど釘の頭に僅かに残るへこみや、砂にあいた穴から読み取れるのは、たしかにそこにあった行為の痕跡だ。

「無」を照らす物体、開かないフタ、それらは本展に存在するものである。物を物として認識することから解放されたいと思う。                

2024年1月 細井えみか

【ステートメント】

深く腰掛けたソファーの手触り、窓から見える家々のエッジの効いた屋根、道端で見上げた陸橋の接合部。気にも留めない些細な日常風景は、いつの間にか記憶の中に積み重なって、大きな安心感に繋がっていく。私にとって物事を「知っている」状態は、自らの精神的支柱 となり安寧を生み出す基盤である。けれど頭の中に漠然と存在している記憶やイメージは、身体の器官を通して仕入れた情報を、自分自身で無意識に取捨選択した結果に過ぎない。私の制作は、見たことのあるもの、触ったことのあるもの、あるいは肌で感じたことのある気配など、五感を通した情報により「知っている」と認識していることが、どれほど真実味を帯びたものかを確かめる行為である。安心の出処を探すため、日常生活にひっそりと存在している要素を掻い摘んでは、「これは何だったか」の記憶を辿る。

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取り扱い エステルオカダアートギャラリー
サイズ 32.0 x 32.0 x 3.0 cm
素材 布、ウレタン、ボルトナット、木材
商品コード 1100050372
配送までの期間 ご注文から2週間程度で発送可能
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