ドイツ人画家、ゲルハルト・リヒター（Gerhard Richter）の作品集。2020年から2021年にニューヨークとロサンゼルスの「ガゴシアン・ギャラリー（Gagosian Gallery）」で開催された展覧会に伴い刊行された。6つの絵画作品を制作したシリーズ「CAGE」（2006）は、スキージーを用いて広範囲にわたり色を塗布し、交わる線や色面で構成され、膨大なスケールと集中した物質性で特徴づけられている。本シリーズのタイトルは作曲家、芸術家、哲学者として影響力を持つジョン・ケージ（John Cage）から由来しており、作者はケージの音楽を聴きながら絵画を制作した。また、作者が2020年の夏に1回のセッションで集中的に制作した、抽象的なドローイング群も「CAGE」と共に収録されている。この作品や両企画の展示風景に加え、「ガゴシアン・ギャラリー」の創設者であるラリー・ガゴシアン（Larry Gagosian）が書き下ろした序論や、ロンドン「サーペンタイン・ギャラリー（Serpentine Galleries）」のアーティスティック・ディレクターであるハンス・ウルリッヒ・オブリスト（Hans Ulrich Obrist）との対談も収録。