Shigeru Nishikawa, Layer-Sealed House 4

Shigeru Nishikawa, Layer-Sealed House 4

 西川茂(にしかわしげる)は1977年岐阜県生まれ。1997年に近畿大学理工学部土木工学科環境デザインコースを中途退学、2002年大阪芸術大学附属大阪美術専門学校芸術研究科絵画コースを修了。2007年から1年間アメリカ・ニューヨーク州の障がい者と健常者の共同生活体「トライフォーム・キャンプヒル・コミュニティ」に滞在、絵画コースでアシスタントを務めました。これまでに奈良、京都、東京で個展を重ね、現在は奈良市と京都木津川市を拠点に活動しています。

 西川は近年、都市に突然出現する布状のシート、仮囲いに覆われた、建設中、改築中、あるいは解体中の建築物や構造物を題材に、抽象的表現を試みています。シートの向こう側では、短期間のうちに建築物が出現したり、更地に戻されたりと風景が一変します。私たちはそれにより、眼に見えている総ては堅固に安定したものではなく常に変化している、ということに気付かされます。西川の「シールド・ハウス」の作品は、「万物の流動性」や、「生成と消滅」、「時間」を表現しようとする試みであり、写実性、再現性から離れ、テーマに相応しい動きのある大胆な筆触で描かれます。

 2022年、新たな試みとして2つのシリーズが発表されました。ひとつは複数の色彩により縞状にした背景に描く「レイヤー (Layer) 」のシリーズです。積み重なる時間や地層が想起されます。もうひとつはこのレイヤーから発展したシリーズで、異なる色彩を施した2枚のキャンバスを水平にずらして接合し、それを支持体として描く「ギャップ(Gap)」のシリーズです。

「現代の日本において、郊外には新興住宅地が広がり続け、都市部には高層ビルが伸び続けています。新たな建物が建つことにより、かつてそこにあった建物や場所は忘れられ、そこに広がる風景は刻々と変化を続けていきます。こうして水平にも垂直にも広がり続ける現代はどれほどの拡張を続けていくのでしょうか。現在暮らしている奈良にはそこかしこに過去の歴史を語る建造物や遺跡があり、その上に人々の暮らしが発展してきた様があります。今見えている地表を現代とすれば、寺社仏閣や遺跡のように何百年と現代にあり続ける建造物もあれば、何メートルか、あるいは何十センチという距離に埋もれる、何百年前という過去があります。ローマの街は文字通り街の上に街が重なっており、地下にはそのまま中世の街なみが残っていると聞きます。そしてもっと大きく見ると地層として地球の歴史は積み重なり、記憶されています。建物の忘却、風景の変容を、これまではその刹那として仮囲いに表現してきましたが、日々の営みから見えてくるこうした時の重なりや、これまでも今後も続く変化をその永劫の流れとして表現できないかと考えています。誕生した生命が幾許かの時を得て死を迎えるように、かつても、これからも建設された建物はいずれ解体される。そして建設(解体)の間、建物を覆うシートはかつての場所の忘却と、新たに生まれる記憶の狭間を意味することになる。人々が何を捨て、何を忘れ、何を見て、これから何を求めていくのか。描かれた仮囲いのその向こうには、変わりゆく風景の移ろい、世情の変容があり、今が更新され未来が続いていく。」西川茂

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西川茂

Layer - Sealed House 4

2022

¥ 286,000 (税込)

 西川茂(にしかわしげる)は1977年岐阜県生まれ。1997年に近畿大学理工学部土木工学科環境デザインコースを中途退学、2002年大阪芸術大学附属大阪美術専門学校芸術研究科絵画コースを修了。2007年から1年間アメリカ・ニューヨーク州の障がい者と健常者の共同生活体「トライフォーム・キャンプヒル・コミュニティ」に滞在、絵画コースでアシスタントを務めました。これまでに奈良、京都、東京で個展を重ね、現在は奈良市と京都木津川市を拠点に活動しています。

 西川は近年、都市に突然出現する布状のシート、仮囲いに覆われた、建設中、改築中、あるいは解体中の建築物や構造物を題材に、抽象的表現を試みています。シートの向こう側では、短期間のうちに建築物が出現したり、更地に戻されたりと風景が一変します。私たちはそれにより、眼に見えている総ては堅固に安定したものではなく常に変化している、ということに気付かされます。西川の「シールド・ハウス」の作品は、「万物の流動性」や、「生成と消滅」、「時間」を表現しようとする試みであり、写実性、再現性から離れ、テーマに相応しい動きのある大胆な筆触で描かれます。

 2022年、新たな試みとして2つのシリーズが発表されました。ひとつは複数の色彩により縞状にした背景に描く「レイヤー (Layer) 」のシリーズです。積み重なる時間や地層が想起されます。もうひとつはこのレイヤーから発展したシリーズで、異なる色彩を施した2枚のキャンバスを水平にずらして接合し、それを支持体として描く「ギャップ(Gap)」のシリーズです。

「現代の日本において、郊外には新興住宅地が広がり続け、都市部には高層ビルが伸び続けています。新たな建物が建つことにより、かつてそこにあった建物や場所は忘れられ、そこに広がる風景は刻々と変化を続けていきます。こうして水平にも垂直にも広がり続ける現代はどれほどの拡張を続けていくのでしょうか。現在暮らしている奈良にはそこかしこに過去の歴史を語る建造物や遺跡があり、その上に人々の暮らしが発展してきた様があります。今見えている地表を現代とすれば、寺社仏閣や遺跡のように何百年と現代にあり続ける建造物もあれば、何メートルか、あるいは何十センチという距離に埋もれる、何百年前という過去があります。ローマの街は文字通り街の上に街が重なっており、地下にはそのまま中世の街なみが残っていると聞きます。そしてもっと大きく見ると地層として地球の歴史は積み重なり、記憶されています。建物の忘却、風景の変容を、これまではその刹那として仮囲いに表現してきましたが、日々の営みから見えてくるこうした時の重なりや、これまでも今後も続く変化をその永劫の流れとして表現できないかと考えています。誕生した生命が幾許かの時を得て死を迎えるように、かつても、これからも建設された建物はいずれ解体される。そして建設(解体)の間、建物を覆うシートはかつての場所の忘却と、新たに生まれる記憶の狭間を意味することになる。人々が何を捨て、何を忘れ、何を見て、これから何を求めていくのか。描かれた仮囲いのその向こうには、変わりゆく風景の移ろい、世情の変容があり、今が更新され未来が続いていく。」西川茂

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取り扱い タグチファインアート
サイズ 65.2 x 53.0 x cm
素材 油彩・木製パネル
商品コード 1100007952
配送までの期間 1週間
備考 本作品は店頭併売品につき、品切れの場合にはご注文をキャンセルさせて頂く場合がございます。予めご了承ください。
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