加納光於
Mitsuo Kano
加納光於は1933年東京都生まれ。版画の技法書を偶然手にしたことをきっかけに独学で銅版画の試作をはじめ、50年代半ばより作品を発表。60年代にはリュブリアナ国際版画ビエンナーレ、東京国際版画ビエンナーレなど数々の国際展に参加し、早くから高い評価を得る。
初期の作品では、植物や生物を思わせる、幻想的なイメージをモノクロームの銅版画で表現。その後、腐蝕作用による版の変容そのものに注目すると、60年代以降はバーナーで溶解させた亜鉛合金を版にそのかたちを紙に写し取るメタルプリント、またリトグラフやオブジェなどにも取り組む。80年代は版画とともに色彩豊かな油彩を、90年代半ばには瞬時のイメージを留めるモノタイプの作品で新たな手法に挑戦する。また詩人との共作や舞台美術、書籍の装丁など幅広く活動。とりわけ詩人・美術評論家の瀧口修造とは長きにわたって、その没後まで創造的な交流を続け、詩画集『《稲妻捕り》 Elements』『掌中破片』をともに手がけている。
現在は油彩作品に注力しつつ、精力的な活動を継続。近年の主な個展に、「加納光於 「骨の鏡」あるいは色彩のミラージュ」(愛知県美術館、2000)、「加納光於 色身(ルゥーパ)―未だ視ぬ波頭よ」(神奈川県立近代美術館 鎌倉、2013)、「加納光於―揺らめく色の穂先に」(CCGA現代グラフィックアートセンター、福島、2017)、「加納光於 《巡りあう種子のように》 1994 / 《夜狐―六庭譜》 2019」(ギャルリー東京ユマニテ、2019)などがある。