福本潮子
Shihoko Fukumoto
福本潮子は1945年静岡県清水市生まれ。63年に大阪市立工芸高校洋画科を、68年に京都市立美術大学(現・京都市立芸術大学)西洋画科を卒業。日本を代表する藍染作家のひとり。ニューギニアの民族美術の学術調査に携わったことを機に日本の伝統美術に関心を抱き、龍村美術織物で学ぶ。二代目龍村平蔵に師事するなかで、藍に出会い、藍染めによる作品制作を開始。「私の理想の空間意識」という独自の美学を確立し、日本の伝統と現代的な技法とを組み合わせることによって藍染めをアートの領域に高め、国際的に多くの評価を受けている。作品制作では主に絞りの技法を使い「青」による表現の探究を続けており、また近年では、希少な手績みの業が凝縮された麻布や自然布に着目。自らの制作を通して、時代の移り変わりとともに失われていく日本の素材感や、風景の伝承を試みている。2015年、最初期からの活動の集大成として『福本潮子作品集 藍の青』を赤々舎より刊行。本作は第50回造本装幀コンクール「出版文化国際交流会賞」を受賞。近年の個展「福本潮子展 藍の青 2021」(ARTCOURT Gallery、大阪)などを通じ、古布の作品シリーズの新たな展開を見せている。