アメリカ人ビデオアーティストで映画監督、アーサー・ジャファ(Arthur Jafa)と、アメリカ人アーティスト、リチャード・プリンス(Richard Prince)の作品集。2026年5月から11月までヴェネツィアの「プラダ財団美術館(Fondazione Prada)」で開催された展覧会に伴い刊行された。2人の著名なアメリカ人アーティストの作品における、これまで検証されたことのない創造的な対話を明らかにする一冊。

10年の歳月を隔てて生まれた両者は、映画、パルプ小説、コミック、YouTube動画、SF小説、アルバムカバー、レコードジャケット、ロックンロールのポスター、ビート世代の初版書籍、ニュースリール、有名人の記念品、ソーシャルメディアの投稿などから抽出したイメージを流用・操作するにあたり、法に縛られないという共通の精神を共有している。アメリカのポップカルチャーを多用しながら、その生々しさや欺瞞を暴きつつ、その神話や倒錯の多くも積極的に取り入れている。両アーティストは、アメリカ特有の奇妙な地勢を描き出している。ジャファは、アフリカ系アメリカ人男性としての自身のアイデンティティを反映させるとともに、ブラック・シネマやアートを活性化させるという使命を掲げている。一方、プリンスは、白人男性性に対する自覚的な批判と、アメリカ人の精神の暗部への魅了との間を揺れ動いている。

本展では、写真、映像、インスタレーション、彫刻、絵画など50点以上の作品が展示された。また、それぞれの新作や、本展の制作過程で二者が交換した画像を盛り込んだ共同制作のZINEも披露されている。

本展のタイトル「ヘルター・スケルターHELTER SKELTER)」は、意味や参照が重層的に重なり合うパリンプセストとしての役割を果たしている。この語はイギリスの遊園地にあるらせん状の大型滑り台に由来するが、英語で混沌を意味する俗語としても用いられる。また、1968年にポール・マッカートニー(Paul McCartney)が発表した有名な楽曲のタイトルでもある。1968年後半、カルト集団の指導者チャールズ・マンソン(Charles Manson)はこの用語を流用し、アフリカ系アメリカ人と白人が互いに滅ぼし合う終末的な人種戦争を予言する概念として用いた。さらに、1992年に「ロサンゼルス現代美術館(Museum of Contemporary Art, Los Angeles)」で開催された展覧会のタイトルでもあったが、この展覧会では特に黒人のヴィジュアルアーティストが含まれていなかったことでも知られている。本展は、この言葉をあらためてタイトルとして掲げることで、大衆文化のなかで繰り返し誤用され、複雑な意味を帯びてきたその混沌とした歴史ごと引き受けている。二者はこの言葉を既製品(レディメイド)のように選び取り、鑑賞者の予想を揺さぶるものとして用いた。それは、本展が二人展という形式でありながら、多様な要素が交錯する複合的な性格を備えていることを象徴する、これ以上ないタイトルなのである。

グラフィックデザイン・コンセプトはピーター・サヴィル(Peter Saville)、グラフィックデザインはロンドンを拠点とする「Graphic Thought Facility(GTF)」が担当する。ヴェネツィア、および同財団が歴史的な宮殿を用いて展開する展示スペース「カ・コルネール・デッラ・レジーナ(CA' CORNER DELLA REGINA)」を撮影した写真は、ジョエル・テッタマンティ(Jöel Tettamanti)が手掛ける。

本書には、ファッションデザイナーであり「プラダ(PRADA)」および「ミュウミュウ(MIU MIU)」のクリエイティブディレクター、そして同財団の理事長兼ディレクターであるミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)による序文を皮切りに、両作家によるヴィジュアルエッセイと対談をはじめ、キュレーターであり本書の編集を手掛けるナンシー・スペクター(Nancy Spector)によるエッセイ「The American Vernacular: Unpolished Truthsアメリカのヴァナキュラー 磨かれていない真実)」も収録。さらに、アーティストでありキュレーターのアリア・ディーン(Aria Dean)による「Jokes」、同じくキュレーターであるアシュリー・ジェームズ(Ashley James)の「Monster/Mythic/Mystery」、作家であり映画批評家、俳優であるエイミー・トービン(Amy Taubin)による「Empathy and Adjacency」という3本のエッセイでは、二者の実践を多角的に考察している。

また、現代アメリカ文化におけるさまざまなテーマを扱う9本のテキストも収録。ブラック・レリジオシティ(アション・クローリー(Ashon Crawley)、ジェンダー・アイデンティティ(ジャック・ハルバースタム(Jack Halberstam)、サイエンス・フィクション(ピーター・ワッツ(Peter Watts)、自動車文化(ランディ・ケネディ(Randy Kennedy)、ブラック・ミュージック(アーネスト・ハーディ(Ernest Hardy)、ホワイトネス(マーティン・ルンド(Martin Lund)、パンク・カルチャー(グレイル・マーカス(Greil Marcus)、千年王国思想(ドリアン・リンスキー(Dorian Lynskey)、そしてポン引き文化(ベス・コールマン(Beth Coleman)をそれぞれ主題としている。

ほかにも展示作品の図版、展覧会および書籍リスト、収録テキストのイタリア語訳を掲載する。ポストカード4枚付属。

表紙に差し込まれているポストカードの絵柄はランダムにセレクトされたものをお届けいたします。

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アーサー・ジャファ リチャード・プリンス

ARTHUR JAFA & RICHARD PRINCE: HELTER SKELTER

2026

¥ 25,300 (税込)

アメリカ人ビデオアーティストで映画監督、アーサー・ジャファ(Arthur Jafa)と、アメリカ人アーティスト、リチャード・プリンス(Richard Prince)の作品集。2026年5月から11月までヴェネツィアの「プラダ財団美術館(Fondazione Prada)」で開催された展覧会に伴い刊行された。2人の著名なアメリカ人アーティストの作品における、これまで検証されたことのない創造的な対話を明らかにする一冊。

10年の歳月を隔てて生まれた両者は、映画、パルプ小説、コミック、YouTube動画、SF小説、アルバムカバー、レコードジャケット、ロックンロールのポスター、ビート世代の初版書籍、ニュースリール、有名人の記念品、ソーシャルメディアの投稿などから抽出したイメージを流用・操作するにあたり、法に縛られないという共通の精神を共有している。アメリカのポップカルチャーを多用しながら、その生々しさや欺瞞を暴きつつ、その神話や倒錯の多くも積極的に取り入れている。両アーティストは、アメリカ特有の奇妙な地勢を描き出している。ジャファは、アフリカ系アメリカ人男性としての自身のアイデンティティを反映させるとともに、ブラック・シネマやアートを活性化させるという使命を掲げている。一方、プリンスは、白人男性性に対する自覚的な批判と、アメリカ人の精神の暗部への魅了との間を揺れ動いている。

本展では、写真、映像、インスタレーション、彫刻、絵画など50点以上の作品が展示された。また、それぞれの新作や、本展の制作過程で二者が交換した画像を盛り込んだ共同制作のZINEも披露されている。

本展のタイトル「ヘルター・スケルターHELTER SKELTER)」は、意味や参照が重層的に重なり合うパリンプセストとしての役割を果たしている。この語はイギリスの遊園地にあるらせん状の大型滑り台に由来するが、英語で混沌を意味する俗語としても用いられる。また、1968年にポール・マッカートニー(Paul McCartney)が発表した有名な楽曲のタイトルでもある。1968年後半、カルト集団の指導者チャールズ・マンソン(Charles Manson)はこの用語を流用し、アフリカ系アメリカ人と白人が互いに滅ぼし合う終末的な人種戦争を予言する概念として用いた。さらに、1992年に「ロサンゼルス現代美術館(Museum of Contemporary Art, Los Angeles)」で開催された展覧会のタイトルでもあったが、この展覧会では特に黒人のヴィジュアルアーティストが含まれていなかったことでも知られている。本展は、この言葉をあらためてタイトルとして掲げることで、大衆文化のなかで繰り返し誤用され、複雑な意味を帯びてきたその混沌とした歴史ごと引き受けている。二者はこの言葉を既製品(レディメイド)のように選び取り、鑑賞者の予想を揺さぶるものとして用いた。それは、本展が二人展という形式でありながら、多様な要素が交錯する複合的な性格を備えていることを象徴する、これ以上ないタイトルなのである。

グラフィックデザイン・コンセプトはピーター・サヴィル(Peter Saville)、グラフィックデザインはロンドンを拠点とする「Graphic Thought Facility(GTF)」が担当する。ヴェネツィア、および同財団が歴史的な宮殿を用いて展開する展示スペース「カ・コルネール・デッラ・レジーナ(CA' CORNER DELLA REGINA)」を撮影した写真は、ジョエル・テッタマンティ(Jöel Tettamanti)が手掛ける。

本書には、ファッションデザイナーであり「プラダ(PRADA)」および「ミュウミュウ(MIU MIU)」のクリエイティブディレクター、そして同財団の理事長兼ディレクターであるミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)による序文を皮切りに、両作家によるヴィジュアルエッセイと対談をはじめ、キュレーターであり本書の編集を手掛けるナンシー・スペクター(Nancy Spector)によるエッセイ「The American Vernacular: Unpolished Truthsアメリカのヴァナキュラー 磨かれていない真実)」も収録。さらに、アーティストでありキュレーターのアリア・ディーン(Aria Dean)による「Jokes」、同じくキュレーターであるアシュリー・ジェームズ(Ashley James)の「Monster/Mythic/Mystery」、作家であり映画批評家、俳優であるエイミー・トービン(Amy Taubin)による「Empathy and Adjacency」という3本のエッセイでは、二者の実践を多角的に考察している。

また、現代アメリカ文化におけるさまざまなテーマを扱う9本のテキストも収録。ブラック・レリジオシティ(アション・クローリー(Ashon Crawley)、ジェンダー・アイデンティティ(ジャック・ハルバースタム(Jack Halberstam)、サイエンス・フィクション(ピーター・ワッツ(Peter Watts)、自動車文化(ランディ・ケネディ(Randy Kennedy)、ブラック・ミュージック(アーネスト・ハーディ(Ernest Hardy)、ホワイトネス(マーティン・ルンド(Martin Lund)、パンク・カルチャー(グレイル・マーカス(Greil Marcus)、千年王国思想(ドリアン・リンスキー(Dorian Lynskey)、そしてポン引き文化(ベス・コールマン(Beth Coleman)をそれぞれ主題としている。

ほかにも展示作品の図版、展覧会および書籍リスト、収録テキストのイタリア語訳を掲載する。ポストカード4枚付属。

表紙に差し込まれているポストカードの絵柄はランダムにセレクトされたものをお届けいたします。

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取り扱い twelvebooks
サイズ 22.7 x 17.0 x cm
重量 1.0kg
商品コード 1100057117
出版 FONDAZIONE PRADA
著者 Arthur Jafa, Richard Prince
ISBN 9788887029963
配送までの期間 ご注文確定後、2-7日以内
備考 including two cover postcards
カテゴリー
送料 ¥770(税込)
購入条件

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