ベルリンとトビリシを拠点に活動するジョージア人アーティスト、トリア・アスタキシュヴィリ(Tolia Astakhishvili)の作品集。

本書は、作者のアーティストブックであり、ハンス・ウルリッヒ・オブリスト(Hans Ulrich Obrist)がキュレーションを手がけた。「ニコレッタ・フィオルッチ財団(Nicoletta Fiorucci Foundation)」のヴェネツィア新拠点での開館記念展開催に伴い刊行された。同財団は、アートパトロンであるニコレッタ・フィオルッチ(Nicoletta Fiorucci)によって設立され、国際的なアーティスト支援と実験的プロジェクトの推進を行う文化機関として知られている。

本書は、ヴェネツィアに拠点を置く造本・印刷スタジオであるロレンツォ・メイソン・スタジオ(Lorenzo Mason Studio)との緊密な協働により制作された。作者による建物や空間の歴史と対話する形で制作されるサイトスペシフィックなインスタレーション式のアートプロジェクトが持つ物質性や空間性を、そのまま書物として立ち上げている。

本書には、ヴェネツィア歴史地区に位置する建物の亀裂や傷、表皮のあいだに直接描き込まれたドローイング、ペインティング、アーカイブイメージが収められている。その建物は作者が数か月にわたり制作拠点として使用した場所でもあり、空間の変形、加算と減算、拡張と収縮といったプロセスを経て、深い断絶、歪み、断片化の感覚に貫かれたプロジェクトが形づくられた。こうした不確かさは、訪れる者が決められた導線に束縛されず、自由に空間を移動できるインスタレーションの構造にも響いている。

このプロジェクトの背景にふさわしく、本書はひと続きのイメージとして構成されており、木材、ガラス、埃、カビ、レンガ、コンクリート、漆喰といった建物を形づくる素材が、作者自身および招聘アーティストによるドローイング、ペインティング、彫刻、コラージュ、写真と対話するかたちでページ上に並置されている。招聘アーティストには、ケトゥタ・アレクシ=メスキシュヴィリ(Ketuta Alexi-Meskhishvili)、ズラブ・アスタキシヴィリ(Zurab Astakhishvili)、セア・ジョルジャッゼ(Thea Djordjadze)、ハイケ・ガルマイア(Heike Gallmeier)、ラフィク・グリース(Rafik Greiss)、ディラン・ピアス(Dylan Peirce)、ジェームズ・リチャーズ(James Richards)、マカ・サナゼ(Maka Sanadze)らが含まれる。

作者にとって建築は、アイデアが投影され、展開される場であり、複数の行為が同時並行的に生み出される空間である。構造要素の変形、絵画的・グラフィックな構成、空間・光・音における知覚的曖昧さの生成といった行為がその一部を成している。本書は、こうした実践の痕跡を集約し、イメージによる通時的な記録としてまとめられており、作者の詩学を全体として封じ込めている。

また本書には、オブリストによる新たなインタビューも収録されている。

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TO LOVE AND DEVOUR

¥ 9,020 (税込)

ベルリンとトビリシを拠点に活動するジョージア人アーティスト、トリア・アスタキシュヴィリ(Tolia Astakhishvili)の作品集。

本書は、作者のアーティストブックであり、ハンス・ウルリッヒ・オブリスト(Hans Ulrich Obrist)がキュレーションを手がけた。「ニコレッタ・フィオルッチ財団(Nicoletta Fiorucci Foundation)」のヴェネツィア新拠点での開館記念展開催に伴い刊行された。同財団は、アートパトロンであるニコレッタ・フィオルッチ(Nicoletta Fiorucci)によって設立され、国際的なアーティスト支援と実験的プロジェクトの推進を行う文化機関として知られている。

本書は、ヴェネツィアに拠点を置く造本・印刷スタジオであるロレンツォ・メイソン・スタジオ(Lorenzo Mason Studio)との緊密な協働により制作された。作者による建物や空間の歴史と対話する形で制作されるサイトスペシフィックなインスタレーション式のアートプロジェクトが持つ物質性や空間性を、そのまま書物として立ち上げている。

本書には、ヴェネツィア歴史地区に位置する建物の亀裂や傷、表皮のあいだに直接描き込まれたドローイング、ペインティング、アーカイブイメージが収められている。その建物は作者が数か月にわたり制作拠点として使用した場所でもあり、空間の変形、加算と減算、拡張と収縮といったプロセスを経て、深い断絶、歪み、断片化の感覚に貫かれたプロジェクトが形づくられた。こうした不確かさは、訪れる者が決められた導線に束縛されず、自由に空間を移動できるインスタレーションの構造にも響いている。

このプロジェクトの背景にふさわしく、本書はひと続きのイメージとして構成されており、木材、ガラス、埃、カビ、レンガ、コンクリート、漆喰といった建物を形づくる素材が、作者自身および招聘アーティストによるドローイング、ペインティング、彫刻、コラージュ、写真と対話するかたちでページ上に並置されている。招聘アーティストには、ケトゥタ・アレクシ=メスキシュヴィリ(Ketuta Alexi-Meskhishvili)、ズラブ・アスタキシヴィリ(Zurab Astakhishvili)、セア・ジョルジャッゼ(Thea Djordjadze)、ハイケ・ガルマイア(Heike Gallmeier)、ラフィク・グリース(Rafik Greiss)、ディラン・ピアス(Dylan Peirce)、ジェームズ・リチャーズ(James Richards)、マカ・サナゼ(Maka Sanadze)らが含まれる。

作者にとって建築は、アイデアが投影され、展開される場であり、複数の行為が同時並行的に生み出される空間である。構造要素の変形、絵画的・グラフィックな構成、空間・光・音における知覚的曖昧さの生成といった行為がその一部を成している。本書は、こうした実践の痕跡を集約し、イメージによる通時的な記録としてまとめられており、作者の詩学を全体として封じ込めている。

また本書には、オブリストによる新たなインタビューも収録されている。

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取り扱い twelvebooks
サイズ 34.0 x 24.0 x cm
重量 1.0kg
商品コード 1100049589
出版 LENZ PRESS
著者 Tolia Astakhishvili
ISBN 9791280579652
配送までの期間 ご注文確定後、2-7日以内
カテゴリー
送料 ¥770(税込)
購入条件