20世紀を代表するスイス人アーティスト、アルベルト・ジャコメッティ（Alberto Giacometti）の作品集。スイスの出版社「SCHEIDEGGER & SPIESS」創立50周年を記念して刊行された。本書は、創設者エルンスト・シャイデッガー（Ernst Scheidegger）が作者へ捧げた2001年作の同タイトル作の改訂版であり、60点以上の未公開カラー図版と新たな章が掲載されている。

作者は、人間のフォルムと現代生活の疎外感という2つのテーマへの執念を体現し、絶大な才能と多作であることで知られる。美術史における正統的な位置づけと、作者に関する膨大な研究成果が残っているにもかかわらず、作者は多くの人にとって、創造的な試みのオリンポスで遠く離れた、捉えどころのない巨匠であり続けている。

作者の友人であったエルンスト・シャイデッガーは、世で知られている作者と全く異なる面を知っていた。シャイデッガーは、作者のアトリエに同行し、一緒に食事をし、実家でくつろいでいた。本書は、シャイデッガーが20年以上にわたって撮影した写真を通して、作者との友情を記録している。シャイデッガーは、作者のアトリエとスイス・マローヤにある邸宅に読者を迎え入れ、作者の人生の最も密接な側面に触れる機会をこの一冊で与える。アトリエでスケッチをする姿、コーヒーを飲む姿、制作中の作品やインスタレーション、さらには眠っている猫まで、作者の制作生活の本質を芸術的なイメージで捉えている。