ドイツ人画家、ゲルハルト・リヒター（Gerhard Richter）の作品集。2022年2月から5月にベルリンの「新ナショナル・ギャラリー（Neue Nationalgalerie）」で開催された展覧会に伴い刊行された。作者の生誕90周年を記念し、新ナショナル・ギャラリーの図書館で、作者が今まで手掛けてきたアーティストブックを紹介する大規模な展覧会が初めて開催された。1966年にドイツ人アーティストのジグマー・ポルケ（Sigmar Polke）とともに最初のアーティストブックを制作して以来、自身のイメージに基づき、抽象的なプロセスを試みて作られた書物は、作者の作品群や自己イメージを理解する上で欠かせないものとなっている。本書は、美術図書館、国立美術館、ベルリンの「国立版画素描館（Kupferstichkabinett）」が所蔵する作品に加え、「ドレスデン国立絵画館（Staatliche Kunstsammlungen Dresden）」、ケルンの出版社「ヴァルター & フランツ・ケーニッヒ（Verlag der Buchhandlung Walther und Franz König）」からの貸与品を含む展覧作品を紹介した本書は、作者の内面世界について深い洞察を得ることができる1冊である。