OIL by 美術手帖ギャラリーで開催の「RISO IS IT」展（2020/6/1-7/3）で発表された作品。33名のアーティストによるオリジナル作品を、リソグラフの技法でプリントした、OIL by 美術手帖限定作品。エディション20。サインなし。

■作家より

「BLACK OMEN and CloudSB」は2018年に香港のAISHONANZUKAで開催された個展で出品した「黒の夢」という絵から発展した画像作品です。

「黒の夢」は日本のRPGの中でも名作と名高い「クロノ・トリガー」というゲームに出てくる宙に浮かぶ巨大な建造物から取った名称です。2010年頃のインターネットの画像を背景にして明度が暗く黒くなり、前面のレイヤーが明るく前に出てくるような構図で、なぜそのように画面を黒くしていったのか特に自分で意識していたことはなかったのですが、作品が黒くなっていく予兆と「黒の夢」が持つ浮遊感と不穏さがしっくりきて名称を引用させて頂きました。

この頃は、作品の画面が黒くなっていくことについて感覚的な制作の手つきを優先していて特にその理由などは考えていなかったのですが、最近は個展の作品制作の中で、最も人生の中で恐れている「死による自身の意識の消失」と結び付けて作品や画像を作っています。

「BLACK OMEN and CloudSB」はその過程で生成された作品で、2019年に「TOKYO2021」というカオス*ラウンジの展覧会で出品した「summer clouds」という作品の要素も入っているので「CloudS」という単語も入っています。「B」はPhotoshopのファイルを更新していく過程で、重複しないように付けていたメモ代わりのアルファベットをそのまま残したものです。

「黒の夢」は英語版「クロノ・トリガー」だと「BLACK OMEN」と訳されています。日本語に直に再翻訳すると「悪い予兆」といった意味になるでしょうか。基本的には自分自身が持つ死による意識の消失への恐怖と、死後に見え、抱き得るイメージを繋げ、作品化していく過程で作られた画像作品のうちの一つです。死にゆく過程で走馬灯のように見えるインターネットの画像の洪水のようなものがあるとすれば、それに近いかもしれません。

■「RISO IS IT」作品一覧はこちら

→https://oil.bijutsutecho.com/special/78  

※額は付いていません。プリントのみです。

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