KMNR™ exhibition ‘PAUSE’ at VOILLD. 2022 Photo by Mariko Yasaka

KMNR™ exhibition ‘PAUSE’ at VOILLD. 2022 Photo by Mariko Yasaka

2022年にVOILLDにて開催されたアーティスト・コレクティブ、KMNR™(カミナリ)の個展「PAUSE」にて発表された作品です。

和紙の原料をベースに構築した塊を現代の様々な紐やロープで結び、関守石と呼ばれる通行止のサインをモチーフにした
立体作品のシリーズです。


カミナリの主宰である谷口弦は1990年佐賀県に生まれ、江戸時代より300年以上続く和紙工房、名尾手すき和紙の七代目として家業を継ぎ伝統を守りながら、様々な技法や素材を手漉き和紙の技術と掛け合わせ、先鋭的な平面・立体作品を制作しています。桜井祐は1983年兵庫県に生まれ、現在は福岡を拠点に活動をしています。クリエイティブ・フォース TISSUE Inc.を設立し、アートブックの出版や幅広いメディアの企画・編集・ディレクションを行う編集者です。金田遼平は1986年神奈川県に生まれ、独学でデザインを学び渡英。グルーヴィジョンズへの所属を経てデザインスタジオYESを設立し、東京を拠点にグラッフィクデザイナー・アートディレクターとして活動をしており、各々でも国内各地で多彩なプロジェクトを手掛けています。カミナリは2020年にこの3名から結成され、展覧会の開催やグループ展への出展、企業への作品提供など、精力的に作品の発表を行っています。

カミナリは伝統的な手すき和紙の技術を用いて再生された紙「還魂紙」を使って、様々な時代の「物」に宿る魂やストーリーを紙にすき込み、先人達が積み重ねてきた和紙という歴史を現代の観点で解体し、新たな価値を吹き込み再構築した平面、立体作品を制作しています。江戸時代以前、反故紙を用いて漉き直された再生紙は、原料の古紙に宿っていた魂や情報が内包されていると考えられていたことから還魂紙と呼ばれていました。カミナリは、その還魂紙を活動のコンセプトであると同時に軸となるマテリアルとして用いることで、過去と現在、変化し続ける未来、そして異なる文脈の物事を繋ぎ合わせるという役目を持たせています。素材の持つ歴史と特性を熟知し、様々な要素を重ね作品に投影することで、和紙の歴史を通観するものとしても捉えることができるのです。

今回の展示では、近年制作を続けている関守石をモチーフにした新作となる立体作品のシリーズを中心に発表します。関守石はシュロ縄で石を十字に結んだもので、茶道を大成させた千利休によって生まれたと言われており、茶庭や神社仏閣の境内において、置かれることで通行止めの意味となる関守(門番)の役をもった古来からのサインとして、現在でも多くの場所で活用されているオブジェクトです。土地の境域に置かれ行き来や空間を分断する目印となるその関守石を、個性溢れる有機的な石の造形は和紙の原料の塊で、そして伝統的なシュロ縄は現代で多用されているビニール紐やチューブなどで巧妙にサンプリングすることで、過去の積み重ねの連続が現在に繋がってゆき、多様な文脈の物事を新たな解釈で接続していくことで未来が開拓されることの重要性を示唆しています。一見はポップな印象を抱くスカルプチャーの作品群ですが、それらに目を留め一時停止することで過去に立ち戻り、現在が通過点となって、新たな価値と共に再生され未来へと通じてゆく可能性を考える糸口となっているのです。

- - -

僕らは普段、「あっち」と「こっち」をスパッと切り離すことによって、物事の関係性を捉えようとしている。
「あなた」はあっち側にいるから「わたし」と区別されるのだし、
「今」という刹那はこっちの側にあるからこそ「過去」あるいは「未来」との分別がなされるのだ。
そこには明確に彼我の境界が存在している(と少なくとも僕たちは日常的にそう認識している)。

でも、それは単に「どういう距離感で物事を捉えるか」というだけの問題なのかもしれない。
僕を含んだ宇宙も、あるいは僕の細胞の中でうごめく素粒子も、
煎じ詰めれば僕、あるいはより大いなるものの一部であるとも言えるのだ。

世界は連続している。
ただその連続性があまりに長くかつ普遍的であるため、僕らはそれをそのままの状態で理解することができない。
ならば“一旦停止”してみよう。より注意深く、この世界の正体を探り出すために。

 

KMNR™ |カミナリ
2020年、佐賀県名尾地区において300年以上の歴史を持つ名尾手すき和紙の7代目・谷口弦、編集者の桜井祐、アートディレクターの金田遼平によって結成されたコレクティブ。伝統的な手すき和紙の技術を用いることで、新たな文脈を持ったメディウムとしての「還魂紙」を生み出し、作品制作を行う。

ー谷口弦
名尾手すき和紙7代目。1990年佐賀県生まれ。関西大学心理学科卒業後、アパレル会社勤務を経て、江戸時代より300年以上続く和紙工房の名尾手すき和紙に参画。家業として伝統的な和紙制作を行うかたわら、2020年ごろよりKMNR™主宰として作品制作を開始。

ー桜井祐
編集者。1983年兵庫県生まれ。大阪外国語大学大学院博士前期課程修了後、出版社勤務などを経て、2017年クリエイティブディレクションを中心に行うTISSUE Inc./出版レーベルTISSUE PAPERSを設立。紙・WEB・空間など、幅広い領域において企画・編集・ディレクションを行う。

ー金田遼平
グラフィックデザイナー/アートディレクター。1986年神奈川県小田原市生まれ乙女座。法政大学在学時に独学でデザイン制作を始め、卒業後に渡英。帰国後、2013年よりグルーヴィジョンズ所属。2018年よりフリーランス、2019年デザインスタジオYES設立。

Exhibitions:
2021
出展「祈りのインターフェイス展」at BONUS TRACK GALLERY
個展「TIMESCAPE」at Muracekai
個展「秘事」at ニューGEN GEN AN幻 / OUCHI
出展「Kyushu New ART 2021」at 博多阪急8F催事場
作品提供「紙糸靴下|Paper Fiber Socks」for Goldwin

2020
長崎アートプロジェクト「じかんのちそう」招聘作家

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KMNR™

(065)

2021

¥ 38,500 (税込)

2022年にVOILLDにて開催されたアーティスト・コレクティブ、KMNR™(カミナリ)の個展「PAUSE」にて発表された作品です。

和紙の原料をベースに構築した塊を現代の様々な紐やロープで結び、関守石と呼ばれる通行止のサインをモチーフにした
立体作品のシリーズです。


カミナリの主宰である谷口弦は1990年佐賀県に生まれ、江戸時代より300年以上続く和紙工房、名尾手すき和紙の七代目として家業を継ぎ伝統を守りながら、様々な技法や素材を手漉き和紙の技術と掛け合わせ、先鋭的な平面・立体作品を制作しています。桜井祐は1983年兵庫県に生まれ、現在は福岡を拠点に活動をしています。クリエイティブ・フォース TISSUE Inc.を設立し、アートブックの出版や幅広いメディアの企画・編集・ディレクションを行う編集者です。金田遼平は1986年神奈川県に生まれ、独学でデザインを学び渡英。グルーヴィジョンズへの所属を経てデザインスタジオYESを設立し、東京を拠点にグラッフィクデザイナー・アートディレクターとして活動をしており、各々でも国内各地で多彩なプロジェクトを手掛けています。カミナリは2020年にこの3名から結成され、展覧会の開催やグループ展への出展、企業への作品提供など、精力的に作品の発表を行っています。

カミナリは伝統的な手すき和紙の技術を用いて再生された紙「還魂紙」を使って、様々な時代の「物」に宿る魂やストーリーを紙にすき込み、先人達が積み重ねてきた和紙という歴史を現代の観点で解体し、新たな価値を吹き込み再構築した平面、立体作品を制作しています。江戸時代以前、反故紙を用いて漉き直された再生紙は、原料の古紙に宿っていた魂や情報が内包されていると考えられていたことから還魂紙と呼ばれていました。カミナリは、その還魂紙を活動のコンセプトであると同時に軸となるマテリアルとして用いることで、過去と現在、変化し続ける未来、そして異なる文脈の物事を繋ぎ合わせるという役目を持たせています。素材の持つ歴史と特性を熟知し、様々な要素を重ね作品に投影することで、和紙の歴史を通観するものとしても捉えることができるのです。

今回の展示では、近年制作を続けている関守石をモチーフにした新作となる立体作品のシリーズを中心に発表します。関守石はシュロ縄で石を十字に結んだもので、茶道を大成させた千利休によって生まれたと言われており、茶庭や神社仏閣の境内において、置かれることで通行止めの意味となる関守(門番)の役をもった古来からのサインとして、現在でも多くの場所で活用されているオブジェクトです。土地の境域に置かれ行き来や空間を分断する目印となるその関守石を、個性溢れる有機的な石の造形は和紙の原料の塊で、そして伝統的なシュロ縄は現代で多用されているビニール紐やチューブなどで巧妙にサンプリングすることで、過去の積み重ねの連続が現在に繋がってゆき、多様な文脈の物事を新たな解釈で接続していくことで未来が開拓されることの重要性を示唆しています。一見はポップな印象を抱くスカルプチャーの作品群ですが、それらに目を留め一時停止することで過去に立ち戻り、現在が通過点となって、新たな価値と共に再生され未来へと通じてゆく可能性を考える糸口となっているのです。

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僕らは普段、「あっち」と「こっち」をスパッと切り離すことによって、物事の関係性を捉えようとしている。
「あなた」はあっち側にいるから「わたし」と区別されるのだし、
「今」という刹那はこっちの側にあるからこそ「過去」あるいは「未来」との分別がなされるのだ。
そこには明確に彼我の境界が存在している(と少なくとも僕たちは日常的にそう認識している)。

でも、それは単に「どういう距離感で物事を捉えるか」というだけの問題なのかもしれない。
僕を含んだ宇宙も、あるいは僕の細胞の中でうごめく素粒子も、
煎じ詰めれば僕、あるいはより大いなるものの一部であるとも言えるのだ。

世界は連続している。
ただその連続性があまりに長くかつ普遍的であるため、僕らはそれをそのままの状態で理解することができない。
ならば“一旦停止”してみよう。より注意深く、この世界の正体を探り出すために。

 

KMNR™ |カミナリ
2020年、佐賀県名尾地区において300年以上の歴史を持つ名尾手すき和紙の7代目・谷口弦、編集者の桜井祐、アートディレクターの金田遼平によって結成されたコレクティブ。伝統的な手すき和紙の技術を用いることで、新たな文脈を持ったメディウムとしての「還魂紙」を生み出し、作品制作を行う。

ー谷口弦
名尾手すき和紙7代目。1990年佐賀県生まれ。関西大学心理学科卒業後、アパレル会社勤務を経て、江戸時代より300年以上続く和紙工房の名尾手すき和紙に参画。家業として伝統的な和紙制作を行うかたわら、2020年ごろよりKMNR™主宰として作品制作を開始。

ー桜井祐
編集者。1983年兵庫県生まれ。大阪外国語大学大学院博士前期課程修了後、出版社勤務などを経て、2017年クリエイティブディレクションを中心に行うTISSUE Inc./出版レーベルTISSUE PAPERSを設立。紙・WEB・空間など、幅広い領域において企画・編集・ディレクションを行う。

ー金田遼平
グラフィックデザイナー/アートディレクター。1986年神奈川県小田原市生まれ乙女座。法政大学在学時に独学でデザイン制作を始め、卒業後に渡英。帰国後、2013年よりグルーヴィジョンズ所属。2018年よりフリーランス、2019年デザインスタジオYES設立。

Exhibitions:
2021
出展「祈りのインターフェイス展」at BONUS TRACK GALLERY
個展「TIMESCAPE」at Muracekai
個展「秘事」at ニューGEN GEN AN幻 / OUCHI
出展「Kyushu New ART 2021」at 博多阪急8F催事場
作品提供「紙糸靴下|Paper Fiber Socks」for Goldwin

2020
長崎アートプロジェクト「じかんのちそう」招聘作家

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取り扱い VOILLD
エディション Unique / サイン入り
サイズ 20.0 x 13.0 x 11.0 cm
素材 和紙、タイガーロープ
商品コード 1100016863
配送までの期間 ご注文後、約10日でのお届けを予定しております。
*送料は着払いとなります。予めご了承ください。
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