大石一貴
1993年山口県生まれの大石は、「ここにあるものはどこからやってきたのか」というような、あらゆる因果関係をテーマに制作を続ける作家です。粘土や石膏、モルタルといった素材を使って一から成型するような手法だけでなく、近年では入手してきた古道具をベースにした彫刻作品なども多く制作をしており、作品内にテキスト(曰く“詩”)を挿入させることなども試みながら、モノや個人のヒストリーを掘り起こす/フィクションとして捏造する方法についての実践を続けています。
《1日目と10日目で少しドラムが上手くなってる人》
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大野陽生
1992年埼玉県生まれの大野は、自身の彫刻制作について「日々のお祈りや、お守りをこしらえる感覚」と説明します。過去には石彫技法での制作も多く行っていましたが、2017年ごろからは石を芯材とする石芯塑造の技法へと移行。最近では塑造だけでなく鉛鋳造などにも取り組み、多数の作品を発表しています。踏み絵など、各地の宗教に関係する彫刻物を参照しているという大野作品の撫で付けるようにモデリングされた表面は、内部に有する「芯」を保護する鎧をも想起させます。
《Substitute II》
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前田春日美
1991年東京都生まれの前田は、彫刻にルーツを持ちながらも、近年ではビデオワークなどを通じて、身体の不全性・不能性にまつわる作品を発表しています。視覚情報と触覚情報の間にある隔たりの感覚から「信用できそうなものが身体しかない」と感じたという前田の作品には、常にあらゆる方法で自身のからだの位相を確認していく様子を見てとることができます。
《Still image #4》
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吉野俊太郎
1993年新潟県生まれの吉野は、「操演」をキーワードに、演出される彫刻とその自我に関する研究を行っています。台座=彫刻を彫刻たらしめんとする一つの演出装置=舞台として考察する吉野の作品の中では、常に台座は傾けられていたり、異物を挿入されたりと特異な状態に改造されており、その周囲に展示される作品らも転がっていたり沈んでいたりと、死を暗示させるような配置がなされています。
《Newborn》
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柿坪満実子
1993年東京都生まれの柿坪は、「ヒトガタ(人形)」に強い関心を寄せる彫刻家です。カトリックの家系に生まれ、自身もメダイなどの原型制作に仕事として携わる柿坪は、人類創造の神話に着想を得て制作されたヒトガタの彫刻作品などを発表。最近では花や草木などの非-動物的な表象も作品内に顕れてくるなど、神学的な雰囲気と日常生活とを同時に抱え持つユニークな作品へと展開されていく様子がみられます。
《SHE #2》
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コムラマイ
1993年徳島県生まれのコムラは、常に「からだ」にレンズと眼差しを傾ける写真家です。ヌードのポートレートを自身のキャリアの出発点として、近年では被写体の体表に極端に接写する作品や、本来写真においてはエラーともされるような“ボケ”を意図的に画面全体に発生させた作品シリーズを展開するなど、一貫してモデルの意識と撮影者との間に成立可能な関係性を検討し続けている作家でもあります。
《someone ⅱ》
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Information
展覧会「WALLAby / ワラビー」 会期:2020年7月10日(金)〜19日(日) |