河野源の作品販売がスタート。こぼれ落ちそうなものに宿るかたちを見つめ、「沿う」彫刻
OILがおすすめのアーティストを紹介していく「OIL SELECTION」。今回は、河野源です。Gallery live artでの個展「Along」開催にあわせて、作品を出品いたします。
文・構成=髙内絵理(OIL)

河野源は、愛媛県を拠点に木工や彫刻作品の制作を続けています。高校では幅広い分野のデザインを学び、自身の表現を模索しながら、卒業後は家業である造形看板の制作に携わるようになります。造形看板とは、文字や写真が印刷された、いわゆる平面の看板とは異なり、立体的な装飾や造形物を取り入れたもの。様々な素材を用いて動物や食べ物、立体文字などの立体造形が看板に組み込まれているのが特徴です。河野は、ここで鉄やアルミ、ガラスなど様々な素材の特性や加工の仕方を学びます。店舗のイメージに合わせた立体デザインの段階から依頼されることも多く、自由度の高さを感じながら、試行錯誤の日々を送ります。
2021年に木工作家として独立した当初、椅子やテーブル、照明などをつくっていくつもりだったと言う河野。親しい友人から依頼を受けてその飲食店にあう椅子を制作したり、小さな木工プロダクトを多く制作するうちに、少しずつ大きな作品の制作を試みるようになりました。
河野は、制作の過程で生まれる端材など一見不要に見えるものにも目を向け、着想を得ています。アトリエに散らばって転がっている木の塊を見ていると、寄せ集めたらすべてがまた少しずつ、姿かたちを変えて動き出してきそうな、見えない生命力のようなものを感じるという河野。自身にとって制作は、かたちを「つくる」のではなく、かたちに「沿う」ことだと話します。かたちを「つくる」と、先行した意図がかたちの可能性を狭めてしまうと考えるためです。そうではなく、その木の塊にはすでにちょっと先の未来にあるべく「かたち」が埋まっていて、河野はそれに自ら働きかけることで生まれ、変化していくかたちを追いかけるようなイメージで刃を進めていきます。今回の個展タイトルには、河野の制作におけるプロセスやイメージを落とし込み、「沿う」の意である「Along」と付しています。また、木彫で作品を制作してきた河野が、鉄を用いた作品も初めて発表。これも端材から着想を得たもので、パーツを付与していくなど塊からかたちを掘り出す行為とは対照的なアプローチを試みた作品も発表します。
河野はこれまで、ずっと松山市の山間地域を拠点に制作を続けてきました。それには、自身が山好きであることはもちろん、環境に満ち足りていることが大きく起因しています。現在、河野が制作を行う地域は広大な自然に囲まれた地域。河野は制作に集中するため「さらに誰もいないところに行きたい」とも話します。というのも、その地域にはかつて楽しい時間を一緒に過ごした仲間もそれぞれ制作に励んでいます。自然のなかで人間の力ではどうしようもできない状況にも直面しながら、たまに行き来して仲間と対話することで、どこに行っても孤独ではないと思える、その居心地の良さは制作における確かな支えにもなっています。ひとつだけ満たされていないことがあるとしたら、と河野は次のように語ります。「自分が産み出す表現が1年後には過去のものになる。であれば、自分が想像もできない表現に近づきたい。その一心で、生の限り身体を使い手を動かす、それだけかもしれません」。
《S26-20》(2026)
《S26-4》(2026)
《S26-21》(2026)
《S26-69》(2026)
Artist Profile
河野源
1995年愛媛県生まれ。2013年愛媛県立松山南高等学校砥部分校デザイン科卒業。卒業後、家業である屋外広告会社に6年間勤務し、造形看板の制作に携わる。木、鉄、アクリルなど多様な素材を扱うなかで、制作過程で生じる木の端材を用いた彫刻作品の制作を始める。21年に木工作家として独立。彫刻的なアプローチによる椅子やテーブル、照明などの制作を経て、現在は愛媛県を拠点に、楠を主な素材とした彫刻作品を制作している。主な個展に「Along」(Gallery live art、愛媛、2026)、「顕形」(gallery 108、岡山、2026)、「ブランクーシへのオマージュ展」(Void、兵庫、2025)、グループ展に「temporary view」(Void、兵庫、2024)、「PPAPERS SUMMIT」(INHERIT GALLERY、東京、2023)など。個展やグループ展を開催するほかポップアップイベントにて作品を発表している。
Information
河野源「Along」
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会期:2026年10月15日~10月20日 |




