「OIL SELECTION」より、谷中佑輔の作品販売がスタート

青森・十和田市の十和田市現代美術館で3月23日まで開催されていた個展「谷中佑輔 弔いの選択」。このたび「OIL by 美術手帖」では出展作品をご紹介します。

⾕中佑輔個展「弔いの選択」展示風景より 撮影=小山田邦哉

 谷中佑輔は1988年⼤阪府⽣まれ。2012年に京都市⽴芸術⼤学美術学部彫刻専攻を卒業、21年にInter-University Center for Dance Berlin (HZT) Solo / Dance / Authorship専攻を修了。現在はドイツ、ベルリンを拠点に、彫刻とダンスをおもな表現形式として作品制作を⾏ってきました。本展は谷中にとっての美術館初個展。新作のインスタレーションや彫刻、映像とともに、パフォーマンスも発表しました。

 今回、「OIL by 美術手帖」では、本展に出展された彫刻作品とドローイング作品のシリーズをご紹介します。彫刻作品のシリーズは、再生医療に関するリサーチから生まれた作品群。幹細胞培養による先進医療が人間の身体を細分化してまなざす視点に注目した谷中は、内臓を思わせる有機的なガラスの量塊と腐食させたブロンズを組み合わせ、医療に支えられながら生きる現代の身体性とその心理的側面を表現しています。ドローイング作品のシリーズは、朝鮮半島における捕鯨の歴史をモチーフにしたもので、画面中央には躍動するクジラが、その周囲にはクジラを捕えるモリが描かれています。コロナ禍において現地でのリサーチが困難ななか、自らの身体との連続性を意識しながら捕鯨について描かれた作品群です。

 環境や他者などの周囲から影響を受ける存在として身体をとらえる谷中が、その関係性のなかで考える身体の「弱さ」や「不完全さ」。倫理を超えて問いかける作品群をオンラインでも感じてみてください。




《CRISPR-PP 8》(2024)

 

《クジラの地理的身体のためのドローイング 9》(2020)​

 

《クジラの地理的身体のためのドローイング 1》(2020)

 

 

 

 

 

 

プロフィール

谷中佑輔

1988年大阪府生まれ。2021年にInter-University Center for Dance Berlin (HZT) Solo / Dance / Authorship専攻を修了。ベルリンを拠点に、彫刻とダンスを横断しながら制作・発表を行う。近年の主な展覧会・舞台に《空気きまぐれ》(京都芸術センター、2023)、《Gallop》(Uferstudios、ベルリン、2022/国際ダンスフェスティバルCo-festival 2022、リュブリャナ、スロベニア)。近年の主なグループ展に「DOMANI・明日展2022-23」(国立新美術館、東京、2022)、「セレブレーション-日本ポーランド現代美術展-」(京都芸術センター/Dom Książki、ポズナン、ポーランド、2019年ほか)など。

 

編集部

Information

⾕中佑輔個展「弔いの選択」(※会期は終了)

会期:2024年12月7日~2025年3月23日
会場:十和田市現代美術館
住所:森県十和田市西二番町10-9
電話番号:0176-20-1127 
開館時間:9:00~17:00 ※入館は閉館の30分前まで 
休館日:月(祝⽇の場合はその翌⽇が休館) 
料金:⼀般 1800円(常設展含む)/ ⾼校⽣以下 無料