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森ゆららの作品販売がスタート。愛とロマンあふれる「映画」から絵画へ、文化をつないでいく

OIL by 美術手帖がおすすめのアーティストを紹介していく「OIL SELECTION」。今回は、森ゆららです。多層の絵具から「動的」な感覚を感じさせるペインティングのシリーズと、薄い絵具で描かれた人物画のシリーズから出品いたします。

文・構成=髙内絵理(OIL by 美術手帖)

撮影=Conor Aldis

 森ゆららの制作の起点は「映画」にあります。森が2軸でシリーズ展開しているそのひとつである、映画監督や映画の登場人物を想起させる人物画のシリーズでは、映画のワンシーンをポップでキャッチーに切り取ったような「静的」なイメージとして展開。もうひとつでは、映画を見ているときに感じる大きな音や光の動き、気配など「動的」な感覚を展開します。いずれも色彩の美しさと光、音を表現することには変わらず、出力の仕方を「繊細にするか、大胆に描くかチューニングする感覚で描く」と言う森。また、映画にロマンス、コメディ、ホラー、SF、ウェスタン、カンフー、ポルノ、といろんなジャンルがあるように、その様々なジャンルを自身の絵画に落とし込み、表現します。こうして、映画における様々な要素を自身の表現に昇華しながら、「絵画の映画館」をテーマに制作を追求しています。

 もともと、音楽や映画が好きな父親からクエンティン・タランティーノ監督の作品を勧められたことがきっかけで映画を見始めたという森。興味を持ち始めると、タランティーノがレコメンドする監督の作品を見るようになり、そこからその監督の他作品を見るようになり、その映画の出演俳優が良かったので他作品も見て……と興味がどんどん広がっていく「深堀り」も映画を観る楽しさであると話します。偉人たちの作品を後世がフォローアップしたさらに新しい表現との出会いは、自身の制作への衝動を掻き立てます。森が映画に惹かれる理由は、こうして綿々と「文化が継承されていくこと」を感じられる点にあると話します。

 また、いつの時代でも映画制作陣がひとつのシーンをつくるために、気持ちの方向を同じくして完成に向かう姿勢について、森は「ロマンを持たないとできないことであると同時に、映画そのものへの愛を感じ、人生をかけて追い求めていく姿やその熱量をリスペクトしている」と言います。森は、愛を感じられる芸術や人が世界にあふれたら、もっと楽しい世界になると願っています。自身の表現の源である映画のように、ときに「人を巻き込む」ような、鑑賞者が世界を楽しくとらえられたり、影響を受けた表現者が後に続いて誕生するかもしれないこと。そうした「文化」や「表現」の連鎖に美しさを感じながら、彼女は追求を続けます。

 




《TRUE ROMANCE》(2024)

 

 

《Uma and Tarantino with spider belt》(2023)

 

《【額装】FIGHT CLUB FOUNDER》(2024)

 

《Tiny crazy horse and dog》(2025)

 

 

 

プロフィール

森ゆらら

1996年東京都生まれ。2020年東京藝術大学絵画科油画専攻卒業、22年同大学大学院美術研究科修士課程第一研究室修了。主に油画、水彩画を制作するほか、立体作品、大型ネオン管アート等、自由な表現方法で制作活動を行う。ロマンティックな映画や音楽、芸術、自然、宇宙などからインスピレーションを受け、独自の色彩感覚でアートとして表現する。ロマンティックな芸術や人が世界に溢れたらもっと楽しい世界になると考える「世界平和プロジェクト」を主宰し、WACKO MARIAのグラフィックやPARADISE TOKYO内のアートワークを担当、ブランドのロマンティックな世界観を反映する重要な役割を担っている。