深堀隆介は自身の考案した、透明樹脂を繰り返し流し込みながら、アクリル絵具で何層にも重ねて描く「2.5Dペインティング」と称される技法により、立体感と瑞々しい迫真性のある作品を作り続けています。
2000年にアーティストとしての活動を悩んでいた時期に、金魚の美しさに魅了され、金魚をモチーフにした作品制作を始めました。水の中で金魚が生きているかのようなリアリティーと雅やかな美しさを持った作品は国内外で高い評価を得ており、平塚市美術館をはじめとした国内の美術館のほか、毓繡術館(台湾)、アメリカのナイキ本社、Four Seasons resort LANAI、KITHなどのアパレルブランド、横浜美術大学、愛知県立芸術大学など美術大学にもコレクションされています。現在、昨年年9月から開催されている展覧会「深堀隆介展 水面のゆらぎの中へ」が全国巡回中です。
今回の個展は、「水底に描く」(みなそこにえがく)と題し、代表作である金魚酒、額にアートワークを施した絵画など新作を中心に構成され、普段発表することが少ないドローイング作品もあわせて展示いたします。会期にあわせ、当サイトにて出品作品より9点のオンラインエントリー販売を1月30日12時より行います(申込期間は2月13日12時まで)。
深堀隆介個展「水底に描く」出品作 オンラインエントリー販売
HOW TO ENTRY
<オンラインエントリー販売 申込期間>
1月30日(火)12:00~2月13日(火)12:00
※申し込み期間は終了しました※
※販売終了⽇は、会期終了⽇とは異なりますのでご注意ください。
※作品内容は予告なく変更になる場合がございます。
※その他詳細は1月30日より公開するエントリー申込ページをご確認ください。
アーティストステートメント
水底に描く
Drawing of the Depths
私はドローイングをしている時に、あることに気がついた。それは、紙の上に垂らした水彩絵具にも水面があるということだった。水面があるということは水底もある。つまり僅かではあるがそこには水深があり、金魚たちの棲息領域が絵を描く行為の中で生まれていることを発見したのだ。私はその彼らの領域に色を垂らし込み、棒やヘラで引っ掻いたり伸ばしたりして、彼らの領域を拡大させていく。垂らしこんだ色の粒子は微かに生まれる水流によって意図しない方向へ流れ、他の色と混ざり合い繋がっていく。私は、そこに一つの海が生まれたような錯覚を覚える。しかしせっかく出来上がったその海も、時間の経過と共に蒸発し痕跡だけが残る。私にとってこの痕跡は、彼らの領域が存在した証なのだ。火星にはかつて海があったと言われている。水の無い火星だが、地表には幾つもの水の作用によって刻まれた痕跡が残されている。もしかすると、その海も何かの生命体の棲息領域だったのかもしれない。いつか地球の海も痕跡になってしまうのだろうか。
Artist Profile
深堀隆介 / ふかほりりゅうすけ
1973年愛知県生まれ。愛知県立芸術大学卒業。透明樹脂にアクリル絵具で金魚を描く技法「2.5D Pa㏌t㏌g」[絵高1] を考案発表し注目を集める。2000年にアーティストとしての活動を悩んでいた時期、放置していた水槽で生き続ける金魚の存在に気づき、その美しさに心打たれ、金魚をモチーフに制作を始める。以後、この体験を「金魚救い」と呼び、さまざまな手法で表現を追求し続けている。国内はもとより、海外でも度々個展を開催し、世界的にも高い評価を受けている。近年ではライブペインティングやインスタレーションにも力を入れ、表現と活動の幅を広げている。主な個展に「⾦⿂鉢、地球鉢」(上野の森美術館、⻑崎県美術館、岩⼿県⽴美術館など巡回、2021)、「⽔⾯のゆらぎの中へ」(札幌芸術の森美術館、帯広美術館など巡回中、2023)など。グループ展に、「シン・ジャパニーズ・ペインティング展」(ポーラ美術館、神奈川、2023)。横浜美術大学客員教授、愛知県弥富市広報大使。
Information
深堀隆介個展「水底に描く "Drawing of the Depths"」
会期:2024年2月6日(火)~2月21日(水) |