AHMED MANNANは2000年生まれ。独自に成形した支持体にペインティングを施すといった、かたちにとらわれない作風が特徴です。こうした作風は、高校生のときに美大受験に備えて練習するためのキャンバスが足りなくなったことから、Tシャツやベッドのシーツを支持体に描き始めたことがきっかけとなり生まれたものです。美大に入学後、本格的にみずからの制作と向き合ったとき、アハメッドは「自己」と乖離しない作品の追求を始めます。ものを載せ支える支持体は、「自己」という枠と重なり合うと感じたことから、何気なく用いていたTシャツやベッドのシーツは自分の記憶や体験から「記号」をひねり出すことであり、イメージに置き換え描かれたものは「自分」の存在の痕跡であり、その過程は「自己」を再検証していくことではないか、と話します。
それから、アハメッドは支持体に矩形ではない、画布のかたまりや自分の洋服を用いたり、矩形を活かしながらも大きく布がはみ出すかたち、キャンバスそのものをゆがめたかたちなど、変形的な外形の作品を数多く発表。支持体へのこだわりは、自分のための支持体をつくりたかったからかもしれない、と彼は話します。映像作品やインスタレーションにも挑戦しながら、現在はふたたび矩形のキャンバス作品の制作を行っています。
今回の出品作は、21年に制作されたシェイプト・キャンバスのシリーズからになります。彼の代名詞ともいえる作品から、アハメッドの表現の軌跡を感じてみてください。
《服布人型》(2021)
《突き刺した木材の絵の具の絵》(2021)
《優雅宮犬》(2021)
《挨拶と火と化物》(2021)
《臥位蓋ちゃーん》(2021)
販売は2022年12月13日(火)12:00より開始いたします。
プロフィール
2000年大阪府生まれ。現在、東京藝術大学絵画科油画専攻在学中。日々や記憶、体験などの様々な場面から着想を得て、独自に成形した支持体を使った作品を手がけている。自身にとって制作は、社会のなかで記号化され、一方的に集団のものとして分類される個々の日々を、記号を超えた輪郭をもつ個人の風景として出現させるための手段としている。主な個展に、「私の好きな食べ物は」(MATTER、東京、2022)、「〻〻〻〻」(TAKU SOMETANI GALLERY、東京、2020)、「え、絵、え うちへでて/そとにおく」(Cour Des Ciel/ギャラリー恵風、埼玉、2019)。参加したグループ展に、「桜を見る会」(eitoeiko、東京、2021)、「包まれた触れ幅」(四谷未確認スタジオ、東京、2021)、「We(You)are Beautiful!」(新大久保UGO、東京、2020)などがある。