しろこまタオは1994年生まれ。自然や動物などの普遍的なモチーフを、グラフィックソフトやレーザー加工機などのデジタル機材を用いて、装飾性が高く物質的な木版画を制作する作家です。1年ぶりとなる今回の個展「e-12 -snow on and off all day-」では、近年彼が収集しているフランスやドイツの18世紀から19世紀初頭頃のアンティーク書籍やアンティークレースから着想を得て作品を発表。よりかたちや素材が際立つように「白地」に特化し、レースに見られる反復のパターンや繊細さを表現に落とし込んで展開した、3シリーズをOIL by 美術手帖でも発表します。
しろこまは、版画の魅力はプロセスにあるとし、自分のイメージを超えた世界を表現できるところだと話します。版画という、多層の版構造を持った版画というメディアの特性もあって、装飾性が強調されますが、制作のプロセスは重ねていくことと削ぎ落すことという相反する作業を同時に展開し、完成に向かうと言います。ゴールが定まったら、そのゴールに向かう最短ルートを決めるような感覚で、繰り返し良い色を再現するためにいかに単純な手順で、いかに複雑なものを表現できるかという過程を「実験」していきます。
また、「物質感」を大事にする彼の版画は、作品の多層構造や作品それぞれの形状に合わせた変形額縁にも見られるように、「もの」としての存在感を強く感じるかもしれません。立体作品の制作も行い、メディアにとらわれず自由なかたちを探求するしろこま。個展とともに、OIL by 美術手帖への出品作からもその多様な展開にふれてください。
レリーフ作品シリーズ
漆喰塗装された半立体モチーフと油性リトグラフインクによる木版画を組み合わせたレリーフ作品のシリーズ。
《r-w-18 -swing slowly in the wind-》(2022)
《r-w-20 -stay in the woods for a while-》(2022)
木版画作品シリーズ
木版の凹凸2版を使用したエンボス加工と版木による空摺りを組み合わせ、アンティークレース模様を版画用紙へ緻密に施した木版画のシリーズ。
《w-w-01 -swing slowly in the wind-》(2022)
《w-w-08 -wait for the wind to die down-》(2022)
立体作品シリーズ
版画の構造を3次元的に発展させた立体作品のシリーズ。
《hakobu hito-shiro-03》(2022)
販売は2022年11月17日(木)12:00より開始いたします。
プロフィール
しろこまタオ
1994年神奈川県生まれ。2021年多摩美術大学大学院修了。グラフィックソフトやレーザー加工機などのデジタル機材を導入した独自の木版画技法を軸に、神話的物語性を内包したデザイン性豊かな作品群を展開。主な展覧会に、「Exhibition No.5 -aoiro no jikan-」(H.P.FRANCE WINDOW GALLERY MARUNOUCHI、東京、2020)、「Exhibition No.7 -○-midori-1-」(H.P.FRANCE WINDOW GALLERY MARUNOUCHI、東京、2021)、「Exhibition No.10 -/&○-」(Watermark arts & crafts、東京、2021)、NEWoMan横浜 1F ウィンドウディスプレイ展示(2021)など。
Information
しろこまタオ個展「e-12 -snow on and off all day-」
会期:2022年11月19日~11月24日 |