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上野英里の作品販売がスタート。不鮮明さのなかに真実を表現する作家

OIL by 美術手帖がおすすめの作家を紹介していく企画「OIL SELECTION」。今回のアーティストは、上野英里さんです。制作を始めた頃から現在まで、継続して描き続ける舞台や映画の一幕を描くシリーズをはじめ、新作の作品販売を開始いたします。

上野英里のアトリエ

 上野英里は1990年生まれ。大学では情報工学を専攻し在学中からイラストレーターとして、卒業後はウェブデザイナーとして活動。その後、専門的に美術を学ぶことを志し、名古屋芸術大学に入学。卒業後も愛知を拠点に活動を続けています。

 上野は、舞台や映画の一幕をモチーフに、事物と事物の境界線が融解するような不鮮明さをもって描く作風が特徴です。昔の演劇映像からインスパイアされて、キャンバスに描かれる舞台の一幕は、靄がかかったような解像度の低さです。これは、上野による「わかりやすさ」や「自分らしさ」への問題提起です。例えば、舞台上で同じ衣装を着た5人が並び、照明が当たった場面を描いた作品があります。これは、画質の低い映像で役者と役者の境界が不鮮明になりただの塊に見えた瞬間、個性が消え全体の一部になった人間に美しさを強く感じたことから制作されたものです。

 また同時に、映像で主役も脇役も関係なくフラットに見えたことに、安堵を覚えたと彼女は話します。上野も、境界線を曖昧にすることで、キャンバスに描く事物の存在すべてを等価に描いていきます。説明を過剰にせずとも、個性の強い主張がなくても、たしかな輪郭をつくることができれば、そのなかでは自由が生まれてくるのかもしれません。OIL by 美術手帖への出品作から、上野の探求を感じてみてください。

 

 

《Women in pink dresses jumping over the man who is crawling down. / 這い蹲る男を飛び越す桃色のドレスを着た女達》(2022)

 

《On a beautiful blue Sunday. / 美しく青い日曜日に》(2022)

 

《10:12 AM ET》(2022)

《10:16 AM ET》(2022)

 

販売は2022年11月4日(金)12:00より開始いたします。

 

 

プロフィール

上野英里

1990年愛知県生まれ。2019年名古屋芸術大学洋画科卒業。動画サイトなどで見た演劇やミュージカルなどの舞台の一幕から作品づくりを行う。スポットライトの下で人間が光と影のなかに溶けていくさまや、存在の不確かさをとらえ、表現している。2019年、平成30年度中川運河助成ARToC10トライアル部門助成取得。主な個展に、「Inventing a Humanity」(新宿髙島屋 美術画廊、2022)、「誰が 捧げる 誰に-Who serves Whom?-」(NODA CONTEMPORARY、愛知、2021)、「ひとりじゃない-You're not the one-」(NODA CONTEMPORARY、愛知、2020)、「A Box of You」(中川運河Artoc10、愛知、2019)、主なグループ展に、「diverse paintings」(西武渋谷 美術画廊 、2022)など。「ART OSAKA 2021」(大阪市中央公会堂)、アートフェア東京2021(東京国際フォーラム)にも参加。

 

 

編集部