小泉遼は1985年福島県生まれ。2018年にNHK大河ドラマ『西郷どん』の題字を担当したことで一躍注目を集めました。19年にはクライアントワークが主であったカリグラファーから本格的に作家活動へ軸を移し、カリグラフィーの基本線を円状に連続的に描く「enso」シリーズを発表。21年より色彩の偶発性を取り入れ、純粋で力強い「光」の視覚的なイメージを表現した「Halo」シリーズの制作を開始。1年ぶりとなる今回の個展「LOCUS」では、アメリカの抽象表現主義など抽象画における美術史からの影響と、これまでのみずからの「軌跡」を重ね合わせた新作「Locus」シリーズを発表。新たな表現に挑みます。また、小泉のアイコンである「enso」シリーズも展示されます。あわせて、OIL by 美術手帖でもメディウムに岩絵具を用いた新作を販売いたします。
小泉は、絵画を通して表現の「力強さ」を提示しながら制作を続けています。「enso」シリーズに特徴的な円状の連なりについて、小泉は「家業でもある庭師の経験もあり、禅の考えに影響を受け、開始点も終了点もなく無限に広がっていく様子を表現したかった」と言います。同じモチーフを連続的に描く「反復」の行為は、「自分の身体を通して、そのたしからしさを否応なしに実感させてくれるプロセス」、描くことは、「いま自分が生きているという痕跡をキャンバスのなかに残すことだ」と話す小泉。彼の作品と出会う私たちもまた、作品を通してそれぞれが感じたみずからの心の動きに生の実感を得ることでしょう。小泉の制作の原点である「enso」シリーズ。OIL by 美術手帖への出品作から、その新たな展開にふれてください。
|「enso」シリーズ
《enso #1411022》(2022)
《enso #1239022》(2022)
《enso #142522》(2022)
《enso #137222》(2022)
販売は2022年9月17日(土)13:00より開始いたします。
プロフィール
小泉遼
1985年福島県生まれ。2016年よりカリグラファーとして活動し、19年にカリグラフィーの基本線を円状に連続的に描く「enso」シリーズを絵画として発展させ、本格的にアーティストとして活動を始める。21年より「Halo」(後光、光輪)シリーズの制作をはじめ、色彩の偶発性を取り入れ、空中に見える光の純粋な視覚イメージを抽象画としてキャンバスに存在させた。かつて庭師としてのキャリアもあり、抽象表現の力強さを持ちながらも独自の東洋的な個性を感じさせる作品を制作する。18年NHK大河ドラマ「西郷どん」の題字を担当。
Information
小泉遼個展「LOCUS」
会期:2022年9月17日〜10月1日 |