鈴木雅明は1981年生まれ。2004年に名古屋造形芸術大学洋画コースを卒業し、 08年に愛知県立芸術大学大学院美術研究科油画専攻を修了。「光」の表現に深く向き合いながら制作を続けています。05年にはシェル美術賞のグランプリを受賞し、一躍注目を集めました。10年頃より、自身の制作に改めて向き合う時間が必要と考え、注目されてきた「夜景」シリーズを一度封印。外光の影響を受けない暗室で、限られた光源から照らされた針金や球体など、複数のモチーフを組み合わせた机上を絵画に描いた、新たな「机上の光」シリーズの発表を行っています。22年3月には個展「都市の光 / 机上の光」を神戸元町 歩歩琳堂画廊にて開催しました。
鈴木にとって「光」は、人間の営みに意識を向けることだと話します。昼間、太陽光のもとで見る都市の風景は人間の営みにより膨大な情報で溢れています。しかし、あまり意識することはないでしょう。いっぽうで、夜の明るさは人工の光ですが、例えば夜景を構成するのは住宅の窓から漏れる光やビルの明かり、つまり光の向こうに人間の存在を感じます。夜の光によって昼間には意識しなかった人間の営みを感じることができるのです。また、「光」そのものに意味や情報は何もありません。それにもかかわらず、夜、帰り道で街灯の灯りにほっとしたり、夜景を見て美しいと思う人間の意識に関心があり、それが描き続ける理由だと鈴木は言います。鈴木の絵画にどこか懐かしさを覚えるのは、彼が描く日常の風景が私たちの記憶に触れ、そこに新たな風景を立ち上がらせるからかもしれません。近年は、猫や鳥などの動物や観葉植物の視点から見た「光」についても考察を続けています。OIL by 美術手帖への出品作品から、ぜひその新たな展開にふれてください。
夜景シリーズ
《Untitled》(2022)
《Untitled》(2022)
《Untitled》(2022)
《Untitled》(2021)
販売は2022年7月8日(金)12:00より開始いたします。
プロフィール
鈴木雅明
1981年愛知県生まれ。2004年名古屋造形芸術大学洋画コースを卒業し、08年に愛知県立芸術大学大学院美術研究科油画専攻修了。2005年、第4回夢広場はるひ絵画ビエンナーレ大賞受賞、シェル美術賞2005グランプリ受賞。主な個展に、「都市の光/机上の光」(神戸元町 歩歩琳堂画廊、兵庫、2022)、「机上の光」(ガレリアフィナルテ、愛知、2020)、「複数から成るもの」(ガレリアフィナルテ、愛知、2018)。主なグループ展に、「Grafting 接ぎ木」(Art Space & Cafe Barrack、愛知、2019)(なえぼのアートスタジオ、札幌、2019)、軌をたどる ー 5人の画家たちの「あれから」 (清須市はるひ美術館、愛知、2022)など。近年は自ら企画展も開催。清須市はるひ美術館(愛知)に作品が所蔵。
Information
【今後の予定】鈴木雅明個展
会期:2022年11月29日〜12月24日 |