野口哲哉
Tetsuya Noguchi
野口哲哉は1980年香川県生まれ。幼い頃から古典絵画や武具に興味を引かれる。2003年に広島市立大学芸術学部油絵科を卒業後、05年に広島市立大学大学院を修了。精巧な鎧兜をまとった人物をモチーフに、樹脂粘土を素材とした立体作品や、絵画を制作している。
「LE MONDE DE COCO ココの世界 現代アーティストたちによる展覧会」(シャネル・ネクサス・ホール、東京、2007)に出品した《シャネル侍2分の1縮尺座像》をきっかけに注目を集めて以来、アートフェア東京などの国際展にも参加。14年に美術館個展「野口哲哉展―野口哲哉の武者分類図鑑」が練馬区立美術館(東京)とアサヒビール大山崎山荘美術館(京都)を巡回し、16年には「平成27年度香川県文化芸術新人賞」を受賞する。
所在なく佇んだり、頬杖をついたり、鎧姿でヘッドフォンから音楽を聴くこともあれば、馬に乗ったまま風船で空を飛ぶ。「なさそうであるもの」と「ありそうでないもの」が交錯する世界観にいる侍たちは、ユーモアを感じさせるいっぽうで、どこか哀愁を帯びている。野口は、現代の私たちにも通じる気配をもつ侍の姿を通して、時代が移ろっても変わらない、喜び、悩みながらも日々生きる人間の姿を表現している。
近年の個展に、「鎧を着て見る夢 –ARMOURED DREAMER–」(箱根彫刻の森美術館、神奈川、2025)、「野口哲哉展-armored space-」(銀座蔦屋書店 GINZA ATRIUM、東京、2022)。「野口哲哉展 ―THIS IS NOT A SAMURAI」(高松市美術館ほか、2021)、「~中世より愛をこめて~ From Medieval with Love」(ポーラ ミュージアム アネックス、東京、2018)などがある。