長谷川繁
Shigeru Hasegawa
長谷川繁は1963年滋賀県生まれ。86年に愛知県立芸術大学美術学部絵画科油画専攻を卒業後、ドイツ、オランダに留学し、デュッセルドルフ芸術アカデミー、アムステルダムのデ・アトリエーズで絵画を学んだ。ヨーロッパを拠点に活動した後、帰国して個展を多数開催。大型のキャンバスに壺や、生姜や生肉といった食べ物、トイプードルなど身の回りにあるものを描いた作品を発表する。奈良美智、杉戸洋、小林孝亘、桑原正彦、O JUNらとともに、具体と抽象を行き来するような作風で90年代に台頭した絵画表現「新しい具象(ニュー・フィギュラティブ・ペインティング)」の作家のひとりに数えられる。制作活動と並行してT&S Gallery(東京・目黒)を運営し、多くの若手アーティストの展覧会企画を行う。2003〜04年には再びオランダに滞在し、中世の絵画や室内画から影響を受けて伸びやかな筆致の作品を制作。2000年代は、巨大なキャンバスに鮮やかな色彩で描く作風から、ひとつのモチーフを脈絡なく組み合せ、新たなイメージを紡ぎ出すような作品を手がける。
11年頃より作品の発表を休止。13年の「ユーモアと飛躍 そこにふれる」展(岡崎市美術博物館)への参加以降、作品を公にすることなく制作を続ける。19年のSatoko Oe Contemporary(東京)での個展「PAINTING」で発表を再開。作風を変化させながら、一貫して「描く」ことの本質を探求している。近年の個展に、「長谷川 繁」展(ガレリア フィナルテ、愛知、2020)、「2003-2004」(Satoko Oe Contemporary、東京、2020)。展覧会に、「豊田市美術館 リニューアルオープン記念 コレクション展 世界を開くのは誰だ?」(2019)、「『新しい具象』とは何だったのか? 90年代のニュー・フィギュラティヴ・ペインティングをめぐって」(パープルームギャラリー、神奈川、2019)などがある。