大西伸明
Nobuaki Onishi
大西伸明は1972年岡山県生まれ。98年京都市立芸術大学大学院美術研究科版画修了。2013〜14年、五島記念文化賞美術新人賞受賞によりドイツ、ベルリンに滞在する。唯一無二の自然物、人の手や時間を経て「1点もの」になった人工物。それらを型取りして樹脂で形を複製し、その表面を精巧に彩色してまるで本物に見紛う作品を制作。儚く移ろう「唯一のもの」を、作品として複製すること。薄さ、鏡面、透明性など、本物とは違う様相を取り入れ、「存在」「オリジナル」とは、という問いを投げかけている。複製技術である版画を修得するなかで生まれた作品のコンセプトは、立体作品と平行して制作される近年の版画作品にも顕著に表されている。また独自の技法「スループリンティング」では、「集中と拡散」という相反する状態をひとつの面につくり出すことを可能にした。
近年の主な展覧会に、「高松コンテンポラリーアート・アニュアルvol.04 リアルをめぐって」(高松市美術館、2014)、「Art Meets 大西伸明 | 相川勝」(アーツ前橋、群馬、2015)、「Smooth Accident - 踏み外された版画の展覧会 vol.1」(MA2Gallery、東京、2019)など。11年より、美術家・岡崎和郎との対話から生まれるプロジェクト「岡崎/大西/オブジェ」を継続している。