ジェフ・クーンズ
Jeff Koons
ジェフ・クーンズは1955年アメリカ・ペンシルベニア州生まれ。シカゴ美術館附属学校卒業後、メリーランド美術大学大学院修了。77年ウォール・ストリートの仲買人として生計を立てながらアーティスト活動を開始する。最初期の作品に、安価なビニール玩具の花やウサギを並置したレディメイドのシリーズ「空気ビニール玩具」や、大量生産される新型掃除機をディスプレーしたシリーズ「ザ・ニュー」など。
85年、ソナベント・ギャラリー(ニューヨーク)がグループ展「ネオ・ジオメトリック・コンセプチュアル・アート」を開催すると、美術史家のハル・フォスターが出品作家の動向を理論づけ、クーンズは「ネオ・ジオ」の旗手として位置づけられた。その後80年代後半より、ウサギのバルーン・アートをはじめ大量生産品や著名人のポートレイトをステンレススチールで再現し、クーンズの名を世に知らしめることになった「彫像」シリーズ、マイケル・ジャクソンとペットのサルなどをモチーフとした「凡庸」シリーズなどを発表。美術の文脈とアメリカ、大衆文化、セレブリティーなどのテーマを結びつけ、作品におけるキッチュさを推し進めていった。
92年に「ドクメンタ5」(カッセル)で発表した《パピー》では高さ約12メートルの像に7万本もの花を植え込むなど、パブリック・アートも手がける。2008年、ヴェルサイユ宮殿で行われた回顧展では、バロック宮殿とその作品との取り合わせに批判が起こる、数回にわたって著作権侵害の訴えを受けるなど、作風への賛否両論やゴシップ、スキャンダラスなイメージも、クーンズの代名詞的なイメージとなっている。2014年、ホイットニー美術館で開催された回顧展では、同館過去最多の動員数(当時)を記録。