アムステルダムを拠点とする南アフリカ出身のアーティスト、マルレーネ・デュマス（Marlene Dumas）の作品集。2025年6月から11月にかけてアテネの「キクラデス博物館（Museum of Cycladic Art）」で開催した展覧会に伴い刊行された。本展は、作者にとってギリシャでの初めての個展となる。

本書には40点以上の絵画作品と紙上作品が掲載されており、身体の描写に対し挑戦的に取り組んで生まれたものを横断的に見せている。キュレーターであり作家のダグラス・フォーグル（Douglas Fogle）と作者との緊密な協力のもと展開された本展は、「キクラデス博物館」が所蔵する考古学的なコレクションに作者が入り込み、深く探求した具象の歴史に対する直接的な「応え」として生まれたものである。本展のために作者は自身の手で所蔵作品から14点を選び、自身の作品とともに展示するという珍しい試みを行なった。同美術館に所蔵されている作品と共に展示する意義を示すことのできる組み合わせにすべく、作者の人生のさまざまな局面で生まれた作品を40点以上集め、うち2点は本展のために新作として発表した。その作品群を、家族の肖像、エロティックな人物像、断片化された身体、彫刻の肖像という4つのカテゴリーに分類している。数千年前に無名の芸術家の手で作られた14点の作品は、作者に直接インスピレーションを与え、共鳴し、生命、愛、母性、ジェンダー、死といった不朽かつ普遍的なテーマを浮き彫りにする。この稀有な組み合わせは、作者の作品と遠い過去の作品が共存することによって生み出される、時代を超越した即物的な存在感と対話を生み出している。

本展は延期されていた個展が満を持して開催されたものであり、本展のために描かれたヴィジュアル・スケッチブック『CYCLADIC BLUES』（2022年）が展覧会に先立ち刊行されている。

ギリシャ語、英語併記。